特別席&料亭でいただく、テイクアウトで楽しむ 花見弁当で春を味わう 第4回(全12回) 水温む陽気とともに心も浮き立つ春、今年はお花見弁当を目当てに出かけてみてはいかがでしょうか? 京都の特別席で、料理店でいただく洗練の味と、春の集いに持ち寄りたいテイクアウトの美味をご紹介します。
前回の記事はこちら>> 京都で花見弁当の宴を
街のいたるところが桜色に染まる京都の春。家庭画報企画による期間限定の特別席と、雅なお弁当が味わえる名料亭へ、ご案内します。
無碍山房
庭に咲き誇る桜と春爛漫の時雨弁当を楽しむ
桜の名所として知られる円山公園の程近くにある「無碍山房」は、名料亭「菊乃井」が手がけるサロン。
庭の桜は3月末から咲き始め、4月中頃まで春爛漫の景色に。老舗ながら常に進化を推し進める3代目主人、村田吉弘さんが監修する山荘風の空間でお弁当と和のスイーツがいただけます。ゆったりと配されたテーブルやカウンターから眺める四季折々の庭の景色もごちそうの一つ。
とりわけ春は、樹齢100年を超える枝垂れ桜と可憐な山桜が咲き誇り、咲き始めから満開、花吹雪まで、料理をいただきながら眺めることができます。
味や色が重ならないように心配りして盛り込まれた美しいお弁当。春菊のおひたし、だし巻き、鯛の桜寿司、鰈の味噌幽庵焼、和牛ローストビーフ、筍と蕗と湯葉の炊き合わせ、砧巻きとたこ旨煮の串打ち、海老旨煮、甘藷巾着など。手前の先付は、旨だしのジュレでいただく翡翠豆腐。料理や器が季節や月ごとに替わる「時雨弁当」は、先付、お弁当、煮物椀と、ごまだれで和えた鯛のお造りがのる時雨飯からなるお値打ちの内容。桜の時季は、うすい豆で作る色鮮やかな翡翠豆腐を団子皿に、そして彩りも美しい十数種類の取肴は袴形の箱に盛り合わせるなど、春爛漫の仕立てとなります。
揚げ海老真丈に結び根菜、蓬麩を添えた、桜花仕立ての煮物椀。吸い地に散らした花弁は、庭の桜の塩漬け。煮物椀も趣向を凝らし、お椀の中で花びらが舞い、桜の優雅さを映し出しています。毎月訪れる常連客がいるのも納得のいく充実の内容で、空間や家具、調度品も一流。敷居が高いと思われがちな料亭の味を気軽に楽しめます。
料亭に気軽に足を運んでもらえるように先代が考案した名物の時雨飯。濃厚なごまだれと鯛のお造りは、とろろをかけるとまろやかな味に。さらに余裕のあるかたは、続けてパフェやわらび餅などスイーツを味わうこともできます。
カウンター席、テーブル席、いずれの席からも桜が楽しめる。 Information
無碍山房
京都市東山区鷲尾町524
TEL | 075(561)0015 |
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営業時間 | 時雨弁当11時30分〜13時(入店)、喫茶11時30分〜17時(LO) |
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定休日 | 火曜 |
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- お弁当は昼のみで5500円 要予約 ※料理内容は食材等の都合により変更になる場合があります。
表示価格はすべて税込みです。 撮影/大道雪代 取材・文/西村晶子
『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。