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全面の錦糸卵に驚き! 京都・洛中の花見途中に味わいたい、海鮮たっぷりの「ちらし寿司」

2020.03.12

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京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。旅の計画にぜひお役立てください。記事一覧はこちら>>

【3月の美味案内】
春到来!花名所のランチ


(取材・文/西村晶子)

郊外まで足をのばさずとも、桜を楽しめる京都。街中にも桜は多く、御所や二条城、六角堂は、屈指の花名所です。


これらから徒歩圏内にあるのが、昭和14年(1939年)創業の「すし善」。地元の人たちの贔屓が多く、店内でも持ち帰りでも気軽にお寿司が楽しめます。その中でも一番人気のちらし寿司をご紹介します。



全面に錦糸卵を敷き詰めた看板商品の「ちらし寿司」1250円。

まぐろ、鯛、煮穴子、たこ……。
具だくさんなのに、奥ゆかしい名物ちらし


京都の昔ながらのちらしといえば、細かく刻んだかんぴょうやしいたけなどの具入りのすし飯に錦糸玉子を敷き詰め、上に具をのせたものが一般的。

ところが、すし善のちらし寿司は、見た目は錦糸卵とガリのみ。初めての人はそのシンプルさにびっくりしますが、卵を食べ進めると、写真のようなさまざまな海鮮ネタが。



錦糸卵とネタを絡めながらすし飯と味わうちらし寿司。活きのいいネタが隙間なく並ぶ。

すし飯の上に焼き海苔を散らし、一口大にそぎ切りしたにぎり用のネタを敷き詰め、一番上に塩味だけの錦糸卵をふんわりたっぷりのせています。

ネタはまぐろ、鯛、はまち、煮穴子、いか、たこをふんだんに使い、漬けのように見えますが、自家製のタレを刷毛で塗っています。少し甘みのあるとろっとしたタレがネタに絡み、すし飯、卵が渾然一体となって味を完成させているのです。

ご主人の記憶では、70年近く前からこのちらし寿司を出していたとのこと。時間が経ってもネタが乾かず、持ち歩いても盛りつけが崩れず、見た目がきれいなようにこの形が考えられたのだとか。とても理にかなっていて、ネタ、すし飯、卵のバランスも絶妙です。



鱧の箱寿司と太巻きの盛り合わせ1000円。夏場は鱧の姿寿司も。

京都人たちが足繁く通う。
店で食べてよし、持ち帰ってよしの京寿司


ちらし寿司をはじめ、こちらのお寿司はすべて持ち帰りができ、折詰にしてもらえます。花見弁当や新幹線弁当になり、朝から通し営業なので遅めのランチにも最適です。

ちらし寿司を食べ終わった後、まだお腹に余裕があるようなら箱寿司や巻き寿司もぜひ。ちらしずしと同じ煮詰めを塗った「鱧寿司」と、かんぴょう、三つ葉、たまごを巻いた定番中の定番の「巻き寿司」はシンプルだからこそ奥深い味わい。何度でもリピートしたくなるお寿司です。



2代目の西村善明さん。3代目で息子の健吾さんとともに日々カウンターに立ち、創業以来の味を守り続けている。

取材中も、ふらりと訪れたお馴染みさんが握りをつまみにし、お土産に折詰を注文されていました。

「街の様子はずいぶん変わりましたが、うちの寿司は何も変わってません」とご主人。錦糸玉子の下に隠された活きのいいネタ、控えめにして記憶に残るおいしさをぜひ味わってみてください。



昭和の趣が漂う店内。カウンター7席のほか、小上がりのテーブル席も。昭和の趣が漂う店内。カウンター7席のほか、小上がりのテーブル席も。



オフィスやホテルが立ち並ぶ烏丸御池エリアに、ひときわ目を引く風情ある佇まい。

すし善


京都府京都市中京区三条通新町東入る衣棚町41-2
電話番号 075-221-3848
営業時間 10時~19時30分(LO)
定休日 土曜

●京都の記事一覧はこちら>>

西村晶子/Shoko Nishimura

関西を拠点に、京都の食や文化、人、旅を幅広く取材、編集。長年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。最近の書籍の仕事に『旨し、うるわし、京都ぐらし』(大原千鶴著)がある。
表示価格はすべて税別です。 撮影/内藤貞保
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