【3月の美味案内】
春到来!花名所のランチ
(取材・文/西村晶子)
桜のシーズンに限らず、いつも観光客で賑わっている祇園ですが、お昼に営業しているお店は意外と少なく、限られています。
その中で今回ご紹介するのは、祇園北側にある割烹「祇園新橋 中谷」のおばんざいの昼膳。知る人ぞ知るこちらのお店は路地奥にひっそりとたたずみ、花見の喧騒を逃れてゆっくり食事をしたい方におすすめの一軒です。
知る人ぞ知る祇園の路地中で、ごはんが進む旬のおかずを
京都の中でも最も風情あるエリア、祇園白川。3月下旬から、川沿いにソメイヨシノや枝垂れ桜が一気に咲き、春爛漫となります。
「中谷」はその中心、辰巳神社の北側、この界隈をよく知る人たちだけが使う新橋通と新門前通を繋ぐ路地中にあります。人が行き来するのがやっとなほどの細い道で、昼も夜もとても静かな通りです。
甘みがあって柔らかい塚原産の筍とわかめに、一寸豆や花びら百合根を加えた、先付の「若竹煮」。写真の料理はすべて3500円のおばんざいコースから。1.京都ならではの春の一品「若竹煮」からスタート
夜は一品料理やコースを出す割烹ですが、昼はおばんざいをメインにする昼膳がいただけます。いろいろなおばんざいと白ご飯をセットにした定食風と思っていたら、割烹らしい四季折々の料理も付き、3品のおかずにご飯とデザートが付く、コンパクトながら充実のミニコース。まずは春の味覚をたっぷり盛り込んだ先付から始まります。
先付は、京都屈指の筍の産地で知られる長岡・塚原産の筍を使った若竹煮。わかめや一寸豆、百合根などを加えた、目でも春らしさが感じられる一品です。
2品目のお造りは、その日のおすすめの鮮魚を用い、春は「鯛とゆばの盛り合わせ」に。2.「お造り」はその日のおすすめが登場。旬の魚や京都の食材を味わって
「型にはまらない遊び心を感じてもらいながら、旬と京都らしさを味わって欲しい」というご主人の思いもあって、献立は日々の仕入れで内容が替わり、お造りも日替わりです。取材した日は旬の鯛と、風味豊かな湯葉。鯛はポン酢、湯葉はわさび醤油で味わいます。
おばんざいと焼き物、揚げ物の6種盛り合わせ。だし巻き以外は毎日内容が替わり、春はホタルイカや桜海老、さわらなどの旬の魚介が楽しめる。3.メインはおばんざい、焼き物、揚げ物6種を盛り込んだワンプレート
山海の旬の幸を味わった後、いよいよいろいろなおかずを盛り込んだ口取り風のひと皿が登場します。おばんざいのほかに、焼き物や揚げ物も盛り合わせ、割烹らしい焼き立て、揚げ立ての熱々が味わえます。
「作り立てをできるだけ召し上がっていただき、ごはんも炊き立てです」と“立て”にこだわり、定番のだし巻きなどの6種類のおかずが付く、充実のワンプレートです。
この日は、さわらの西京焼き、桜海老・新玉ねぎ・うすい豆のかき揚げ、豚の含め煮、ホタルイカの酢味噌、人参菜のひたし、だし巻きの6品。ひと口ふた口いただくと一気にごはんが欲しくなり、間よく炊き立てのご飯が登場します。
おかずと同じタイミングで出される土鍋炊きごはん。ふんわりしっとりの炊き立てからおこげまで味わえる。4.お客様ごとに炊き上げる土鍋ごはん。器にも遊び心を盛り込んで
ご飯はお客さまごとに土鍋で炊き上げ、一人客でもひと鍋で供されます。一粒一粒が立つつやつやのごはんは丹波産のコシヒカリで、飯茶碗を手に取って見ると、お抹茶のお薄のための茶碗。絵替わりで、手触りがよく、ご主人の遊び心がここにもうかがえます。
食後のデザートも季節で替わり、春は「いちごヨーグルトアイスクリーム」に。盛りだくさんのおかずとごはんでお腹も満たされ、食後のデザートで締めくくります。
昼食にあまり時間はかけたくないけれど京都らしい料理を味わいたい、うどんや丼ではちょっと満たされず、かといって会席は量が多くて………そんな人に程よいボリュームとお値段で、楽しめます。
隠れ家風のたたずまいにして、店内は気を張ることなく食事ができる町家風の空間。桜スポットの中にありながら、花見ランチにうってつけの一軒です。
京都のホテルや和食の名店で20年以上研鑽を積み、2015年に店をオープンしたご主人の中谷維知廊さん。昼は5000円、8000円のコースもあり、夜は一品とコース8000円~。カウンター8席、小上がりの掘りごたつ8席からなり、隠れ家風の一軒。昼は前日までに要予約、夜は予約がベター。祇園新橋 中谷
京都府京都市東山区大和大路通新橋上ル元吉町59-1
電話 075-525-1881
営業時間 11時30分~13時30分(入店)、18時~20時30分(入店)
定休日 日曜(翌月曜が祝日の場合、日曜営業で翌月曜休)、不定休あり
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