「四国の魅力」を味わう 第10回(全18回) 四方を海に囲まれ、自然の恵みが溢れる四国。秋には山海の幸が旬を迎えます。瀬戸内の美しい景色とともに、土地の食材を味わえる名店の料理、ご自宅で作れるレシピ、お取り寄せ情報をお届けします。
前回の記事はこちら>> ラ プリマ ヴォルタ(高知県・高知市)
須崎産かますの燻製と土佐きのこのフェデリーニ(上)かますは風味づけとして軽く燻製にしている。フェデリーニはスパゲッティより細く、そうめんが好まれる高知では人気がある。あしらいの食用ダリアと菊はシャキシャキした食感がアクセントとなる。
<作り方>かますは3分燻製にする。しめじ、しいたけ、きくらげをしいたけのだしで炊き、かます、フェデリーニと合わせてバター、オイルで仕上げる。枝川産タワラマゼランのニョッキ 四角豆と炭火で焼いた土佐赤牛(下)タワラマゼランはじゃがいもの中でもきめが細かく食感がなめらか。ニョッキにするとすっきりとした甘みとともに口中でとろける。パルミジャーノと2種の生クリームを煮つめたソースを添える。
<作り方>じゃがいもはゆでて小麦粉と合わせ、棒状にして1センチ幅に切り、ゆでる。牛肉は炭火焼きに。四角豆はゆで、土佐紅いもはオーブンで焼いて丸抜きに。地野菜に土佐の魚介、赤牛など地ものを厳選して
オーナーシェフの諏訪恵治さんが自分の店を開いたのは25歳のとき。今年、その「ラ プリマ ヴォルタ」は開店15周年を迎えました。
●諏訪さんと巡る、高知名物「日曜市」高知のイタリア料理店で修業していた頃、先輩たちがよくいっていたのは「東京だったらこんなことができるけど、高知じゃできない」という否定的なことでした。それに反発した諏訪さんは店を開くにあたって、高知だからできること、高知でなければできないことを探しました。そして辿り着いたのが、高知の地産素材そのものでした。
戻り鰹とさまざまな茄子 薬味ヴィネグレット高知はなすの栽培が盛んで種類も豊富。そのさまざまななすを香ばしい間引きねぎのフリットとともに戻りがつおのたたきに合わせる。高知だからこそ出会えるひと皿。
<作り方>かつおは軽く岩塩をふり皮目を軽くあぶる。なすは種類によって焼きなす、揚げなす、油通し、にんにくとともにオイル焼きなどに。花となすの仲間のほおずきも生で添える。温暖な気候に恵まれて育つ健やかな地野菜や果物、とびきりの鮮度を誇る魚介、さらには丹誠込めて育てた土佐の地鶏や土佐赤牛などを生かしたイタリアンを作ろうと思ったのです。
以来、素材選びには意を注ぎます。いも類ならこの人、青ものならあの人、と生産者は定着してきました。食材は毎日農園や漁港から直接運び込まれ、自らも産地に赴きます。農家と手を組んで新たな品種も手がけ、それを生かすひと皿を探求し、互いを磨き合ってきました。
今、諏訪さんの周りには「高知水田農園」「ファーム・ベジコ」をはじめ、同志ともいうべき多くの生産者がいます。そしてそこから生まれる素材が諏訪さんの料理を支えています。
諏訪さんは高知県出身。高知学園高校卒業後、地元で料理修業を始める。東京での4年間の修業を経て2005年「ラ プリマ ヴォルタ」開店。履物問屋の重厚な屋敷を改造した店は趣深く、根強いファンに支えられている。ラ プリマ ヴォルタ高知県高知市はりまや町2-10-1
TEL:088(885)7041
営業時間:18時~22時(LO)
定休日:日曜・第3月曜
コース4500円・7500円・1万500円(税込み)。完全予約制。
【お取り寄せ】
絶品ハーブと旬の野菜
季節の野菜ハーブセット3000円「ファーム・ベジコ」の野菜ハーブセット野菜ソムリエであり、ハーブコーディネーターでもある長崎雅代さんが栽培する絶品ハーブと地野菜の数々。バジル、レモングラスなどのハーブとコリンキー(生食できるかぼちゃ)、サラダかぼちゃ、からし菜、紅水菜など。
●ファーム・ベジコTEL:090-8699-9237
FAX:088(837)9141
URL:
http://vegeco.jp※注文はFAXかネットで。
【お取り寄せ】
とれたての土佐の地野菜を堪能できる
野菜おまかせセット3000円(税込み)「高知水田農園」の野菜おまかせセットいの町枝川の高知水田農園の野菜を主にした詰め合わせ。枝川は肥沃な赤土畑が広がる地で、ことに根菜の味がよく、水田農園でも根菜は看板野菜。この時期はセレベス、美しい淡緑色の土佐翡翠かぼちゃ、コリンキーなど、葉もの類も含めた10〜13種の詰め合わせで。
●HarunaTEL:088(750)1831
URL:
https://haruna831.com※注文はネットで。
表示価格は原則として税抜きです。
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/松田純子
『家庭画報』2020年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。