「本物印」の食材で最高の朝ごはん 第8回(全16回) 食は命をつくるもの。とりわけ一日の活動を始めるエネルギーを補給する朝ごはんには心も体も喜ぶものを食べたいものです。真っ当な食材・食品さえあれば、献立はごくシンプルでよい。理想の朝ごはんにふさわしい「本物印」の食材・食品を日本全国で探しました。
前回の記事はこちら>> 「本物印」に挑む、情熱の生産者を訪ねて
朝食に欠かせない、野菜や乳製品、加工肉、海苔、納豆、卵──。毎日のことだからこそ、上質なものを選びたい。「よりおいしく」はもちろんのこと、私たちの健康と安全、そして、持続可能な地球の未来を考えた情熱の生産者を紹介します。日々の食卓に何を選ぶのか──。未来は私たちの手のひらの中にあります。
目次1.
野菜2.
牛乳・バター3.
ハム・ソーセージ4.
海苔5.
納豆4.海苔
左から、ごはんによく合い後味に甘みが残る「鹿島第三初○2」、嚙むほどに品のあるうまみが広がる巻き物向きの「芦刈壱重1」、抜群の歯切れと濃いうまみ、豊かな香りで色艶も美しい最上級「諸富町推特」。ぬま田海苔(東京都・合羽橋)
左・有明海では浅瀬に柱を立て海苔網をくくりつける支柱式で養殖する。右上・海苔の胞子は牡蠣の殻の中で成長する。右下・海苔網に育つ海苔。潮の干満により、海に浸かっている時間と、空気に触れ太陽の光を浴びる時間が生じることで、柔らかく、口溶けのよい海苔が生まれる。至高の香り、うまみ、歯切れ――有明海の初摘み海苔
海苔のおいしさは、「柔らかで口溶け、歯切れがよく、うまみがあること」。「ぬま田海苔」の4代目当主・沼田晶一朗さんは、そういいます。東京・合羽橋にある店は、有明海産の「初摘み海苔」だけを揃える珍しい専門店です。
アパレル企業に勤めていた沼田晶一朗さんが4年前、川崎にあった実家の海苔店を継ぎ、リブランディング。初摘み海苔専門店として再出発させた。有明海に限定している理由は、多くの河川からミネラル豊富な栄養分が流れ込む豊かな漁場であるから。しかも日本一の干満差によって海水と太陽の光を交互に吸収できる、海苔作りに最高の環境だから。
そんな有明海で採れる海苔の中でも、漁期の初めである11~12月に摘まれた「初摘み」は、新芽ならではの柔らかさが魅力。
「ワインの味がテロワールによって異なるのと同様、有明海の漁場は福岡、佐賀、熊本とあり、漁場ごとに味わいは異なります。漁場の個性が明確に表れるのが初摘みです」。それゆえ、すべての商品名に漁場の地名がつけられています。
店頭に並ぶのは、有明海の“メロワール(漁場の味)"を楽しめる海苔が7種類ほど。試食して好みの味を見つけましょう。
ごはんに合わせるなら、口溶けがよく甘みのあるものを。お餅と食べるなら、青海苔が混ざった香りのよいものを。漁場ごとに少量ずつしか採れない海苔を仕入れるので、商品との出合いは一期一会。
好みを伝えながら、目当ての一枚を探すのも楽しみです。
「芦刈壱重1」「網田混1」「大和南〇特(1)」など、商品名には漁場名と等級を表す、業者間で使われる名がそのまま使われている。パッケージは海をイメージしたもの。 Information
ぬま田海苔
東京都台東区西浅草3-7-2
- 店のインテリアも、スタイリッシュに生まれ変わった。 全形海苔10枚入り2160円~、おにぎり海苔(4種)各1080円など。注文は電話、オンラインストア。
撮影/本誌・坂本正行、大見謝星斗 スタイリング/chizu 取材・文/北村美香
『家庭画報』2021年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。