爽やかな空気が満ちるスウェーデン大使公邸のダイニングルーム。温もりを感じさせる伝統的なデザインも随所に取り入れている。夏のランチパーティに合わせた、涼やかな装いの大使夫妻がお出迎え。スウェーデン大使夫妻取材の舞台裏&スペシャルメッセージ動画を見る>>ペールエリック・ヘーグベリ駐日スウェーデン大使夫妻。夏のプライベートランチにようこそ
食事開始の乾杯は、北欧の蒸留酒アクアビットで。タペストリーと合わせ、紫をアクセントにまとめた卓上の花が、部屋をスマートかつさりげなく彩る。魚の酢漬けはスウェーデンの定番の前菜。この日は、こはだをたっぷりのレモン果汁でマリネした香り高い一品を準備。カリッとトーストしたバゲットとともに。仲間とのおいしい陽気なランチは乾杯の歌でスタート
ペールエリック・ヘーグべリ大使2019年9月、駐日スウェーデン大使着任。2016年からは、3年間駐ベトナム大使を務める。それ以前はスウェーデン外務省アフリカ局局長、スウェーデン芸術評議会国際部課長、および在南アフリカ・スウェーデン大使館一等書記官などを歴任した。アンナ・ヘーグべリ夫人1996年、ロンドンの王立音楽大学大学院にて、音楽教育の修士号取得。スウェーデンのほか、南アメリカやベトナムの小・中学校、高校で音楽(歌)を教える。聖歌隊合唱団やジャズなど、幅広い分野での指導経験がある。スウェーデンの人々にとって、夏は喜びに満ちた季節。冬が長い土地ゆえ、光溢れるこの季節を皆特別な思いで待ち望むのです。そんな夏を祝福するカジュアルなランチパーティを、大使夫妻が主催しました。ゲストはいつも力になってくれる、大使館のスタッフのお二人です。
スウェーデン大使館は六本木の高台に位置する。ランチの始まりは乾杯から。北欧を代表する蒸留酒、アクアビットのグラスを掲げます。「乾杯では定番の歌を歌うのが習わしです」と大使。この日も「ヘラン・ゴー」、すなわち「全部飲み干せ」という威勢のよい名を持つ乾杯の歌を皆で歌唱。ダイニングに愉快な雰囲気が弾けます。
旬のアスパラガスの風味を閉じ込めた冷製スープ。話題の中心は、夏の思い出です。スウェーデンでは大人も子どもも、夏の間は長い休みを田舎の家で過ごす習慣があります。
「スウェーデン国内でも特に深い自然で知られる北部エリアにある家で、家族で夏を楽しんだことがあります。電気もガスもないので、薪ストーブで調理するのです」と、貴重な体験を大使は話してくれます。
「サウナで体を温めてから川に飛び込んで泳ぐのも、最高に気持ちよかったですね」と夫人。「自然しかない環境で泳ぐのです。見渡すかぎり人はいませんが、熊は見たことがあります。そんなときは、北海道で買った熊鈴を鳴らすのが一番ですね(笑)」。
肩の力の抜けたお二人の会話に、ゲストも楽しく参加。話題が尽きません。そんなおもてなしの極意について、大使は「誰かの真似をするより、自分にとっての心地よさを優先するのがポイントです」と話します。
「自信を持って個性を発揮すると、自分もゲストも楽しく過ごせますよ」と口を揃える夫妻。パーティの活気は、大使夫妻がこの時間を楽しんでいることから生まれるようです。
左・柔らかく仕立てた豚肉のグリルに、旬の新じゃがいもの温サラダを添える。サラダは、柔らかな酸味とハーブの香りをまとう。右・付け合わせのポロねぎのグリル。にら風味の山菜、ラムソン入りのマヨネーズがアクセント。
MENU
アスパラガスの冷製スープ
~ヴェステルボッテン・チーズ、チャイブ添え~
こはだのレモンハーブマリネ
ポークグリル
~温かいポテトサラダ、フェンネル、ラディッシュ、きゅうり添え~
ポロねぎのグリルとラムソンのマヨネーズ
いちごのデザート
~ピスタチオのアイスクリームとヴェルヴェーヌ添え~
撮影/阿部 浩 取材・文/柴田 泉
『家庭画報』2022年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。