極上のあんみつ 第5回(全16回) 涼をもたらす見た目に、体に沁みる優しい甘さ。盛夏にぴったりの大人の甘味をお届けします。
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あんみつを追求する専門店へ
餡、寒天、蜜が基本のシンプルな構成だからこそ、奥深いあんみつ。材料を吟味し、作り方に工夫を重ねて味を追求する、新旧のあんみつ専門店をご紹介します。
あんみつ店だからこそのメニューの豊富さが魅力
右から白玉あんみつ、抹茶あんみつ、杏クリームあんみつ。あんみつは10種類。器は特注の美濃焼。菖蒲、桜、梅など、東京藝術大学の学生のスケッチを、創業時にデザインしたもの。砂糖やあずきの入手もままならない戦後の混乱期に、あんみつ屋として創業。大人気店となりました。甘味処では当時、お汁粉が主力でしたが、「日本一おいしいあんみつを」と、工夫を重ねたレシピを一度も変えず、今も作り続けています。
肝になるのは、あんみつ用に毎日作るこし餡。スプーンですくいやすい柔らかさなので、寒天と蜜にからみやすく、口の中でほどけるようです。これは、本来は練り上げるべき餡を、なるべく練らずに仕上げているからだといいます。
この餡のなめらかさに合うのが、しっかりした口あたりの寒天と、ホクホクに炊かれた赤えんどう豆、そしてとろけるようなソフトクリーム。
それぞれの味が引き立つよう、蜜はサラリと上品に。餡の風味と食感に寄り添うように考え抜かれた、見事な味のシンフォニー。さすがとしかいいようがありません。
お持ち帰りも好評。あんみつ460円、夏みかんあんみつ(夏期限定)590円。
Information
みはし 上野本店
東京都台東区上野4-9-7
- 白玉あんみつ710円 抹茶あんみつ720円 杏クリームあんみつ850円
撮影/南都礼子 取材・文/北村美香
『家庭画報』2022年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。