次の九州は“美味しい”を訪ねて 第7回(全23回) 佐賀県と長崎県は2022年9月に西九州新幹線の開業を控え、旅の目的地として再び注目が集まっています。今回は新幹線が走るエリアを軸に「美味しい」をキーワードに探訪しました。
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白玉団子の大きさはお店によって違うが、「銀水」は1個あたり約2グラムと、ごく小さめ。水の都の涼やかな名物「かんざらし」
雲仙山系の伏流水が町の随所で湧き出る島原において、水の都らしい名物が「かんざらし」です。小さく丸めてゆで上げた白玉団子を湧水にさらし、さらっとした蜜をかけていただく、目にも涼やかな甘露な味。
現在も生活用水として利用されている「浜の川湧水」を目の前にする、ここ「銀水」は、大正時代に創業し、「かんざらし」元祖のお店とも呼ばれています。
風情溢れる木造の建物は国登録有形文化財。浜の川湧水を眺めながらの縁側席が人気だ。20年前に惜しまれつつ閉店し、しばらく空き家状態だったところを、地元有志の大きな熱意により6年前に復活しました。
「子どもの頃、おばあちゃんと訪ねたときの味が忘れられなくて」と話す遠方からの観光客もいるなど、再び郷土の味が注目されるきっかけになっています。清らかな水とともにいつまでも残したい美味遺産です。
湧き水を取り込んだタイル貼りの水槽では、白玉を水にさらしたり、かんざらしの蜜やラムネなどのドリンクを冷やす。 Information
銀水(島原市)
長崎県島原市白土桃山2丁目1093
撮影/本誌・坂本正行 取材協力/長崎県 九州観光機構 九州旅客鉄道
『家庭画報』2022年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。