春、日本列島はいちご色に染まる 日本全国いちご図鑑 第10回（全13回） 現在、品種登録されているいちご品種は全国で300を超え、作付けされる主要品種は70以上。これだけ多種多様ないちごを味わえるのは世界において日本だけかもしれません。晩秋から春にかけて、日本列島を席巻する甘酸っぱい赤い宝石「いちご」の魅力を深掘りします。
前回の記事はこちら＞＞ 伊澤いちご園（栃木・下野）
農園×ジェラート店。いちご農家の新しいスタイル
約1ヘクタールもの広大な土地で、栃木県が誇る「とちおとめ」や「とちあいか」を育てる伊澤いちご園。水と土にこだわり、温度や湿度の管理を徹底して、完熟を追求したいちご作りを行っています。
「とちあいか」のハウスで収穫用の台車に乗って微笑む、伊澤さん（右）とパティシエの江森宏之さん。つきあいは10年近くで、互いを刺激し合う仲。「いちごの品種にもよりますが、基本は畑での土耕です。同じいちごでも土壌と水によって味が変わり、どちらにも恵まれているのがこの土地。愛情を込めてていねいに育て、完熟を見極めて最良のタイミングで収穫・出荷しています」と、農園主の伊澤敦彦さん。
栃木県が開発した新品種「とちあいか」は、やや大粒で、縦に切ると断面がハート形に。赤みが鮮やかで甘く、ジューシーさも魅力的。江森さんも、「伊澤さんが作るいちごは、味も香りも格別。いちご農家なのにジェラート職人でもあって、収穫したてのいちごを使ったジェラートがまた旨い」と、太鼓判を押します。
「Gelato&Caffeいざわ苺園」にて。みずみずしいいちごソルベと、ピスタチオのジェラート（2種フレーバー480円）。注目の新品種は「とちあいか」。ハウスで完熟の実を摘み、「きれいですね！ 中まで赤くて、甘みとともに酸味のバランスがよく、香りがしっかり感じられます」と、瞳を輝かせた江森さん。
摘みたてをそのまま店舗へ。写真は「とちあいか」。「いちごらしい香りですよね。実の質が少し硬めでネチョッとせず、甘みもしっかりしています」と、伊澤さんも答えます。そのいちごで作られたジェラートは、口溶けとともにフレッシュで濃厚ないちごの香りと果実味が広がり、余韻も豊か。食べる人に季節の香りと笑顔を運びます。
ジェラートは常時約16種類。いちごのフレーバーはほかに生いちごミルクも。旬の時期のみ提供。
ホイップクリームやカスタード、いちごソースとともにいちごを巻いた、「季節のクレープ苺」（650円）。農園での摘み取り体験は、伊澤さんが運営する「吉田村VILLAGE」の農業体験プログラムのみで対応。ジェラートは下記2軒で味わえます。
イタリアンカフェバール ラーペ ロンツァ栃木県下野市本吉田937-1
TEL：0285（39）7708
Gelato&Caffeいざわ苺園栃木県下野市薬師寺3720-1
道の駅しもつけ内
TEL：0285（38）7188
吉田村VILLAGE栃木県下野市本吉田784
TEL：0285（35）1020
表示価格はすべて税込みです。 撮影／本誌・西山 航 取材・文／瀬戸理恵子
『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
