いちごのプロはこう選ぶ、食べる
松本貴行さん(栃木県農業試験場いちご研究所 企画調査担当 特別研究員)いちごをおいしく食べる一番のポイントは、完熟であること。へたのところまで赤くなっているいちごを選びましょう。甘みのほか酸味、香り、程よい口当たりと歯ごたえも大切です。食べ方の好みは人それぞれですが、
いちごは先端がいちばん甘いので、ひと口で食べられないときは、先端を最後に食べるかたも多いです。
伊澤敦彦さん(伊澤いちご園 代表取締役)いちごを選ぶポイントは艶です。ハリがあって、ピッカピカのいちごのおいしさは抜群です。僕は2Lサイズくらいの中粒のいちごをひと口で食べると、味と香りの凝縮感が感じられて好き。練乳は絶対につけません。でも、ショートケーキのように
甘さを抑えた生クリームと一緒に食べるのはおいしいですね。わが家で飲むいちごジュースは、いちご:ミルク=8:2が基本です。
江森宏之さん(メゾンジブレー オーナーシェフ)いちごの中には円錐形でいやに細長い実のものがあって、僕としてはそれが最強に旨いと思っています。何もつけずにそのまま食べるのが基本的には好きですが、
ざっと刻んでいちごやベリーのコンフィチュールとマリネして食べるのも好きです。そばにヨーグルトが少しあれば最高。いちごは乳と相性がいいので、ショートケーキは何も考えずに食べてもおいしいですね。
田口直樹さん(和銅農園 代表取締役)いちごはやはり、摘みたてをそのまま食べるのが最高です。艶とハリがあって、
へたの下まで赤く色づいたものを選びます。新鮮なものはへたが上に反るので、それも見極めのポイント。食べるときは、
先端もへたの近くも同時に食べられるように、いちごを横向きに持ってパクっとかじります。いちごに飲むヨーグルトを少なめに加えてミキサーにかけ、スムージーにして飲むのもおいしいと思います。
都道府県に聞く、2023年いち押しいちご
初夏から夏が旬のいちご
北海道「ゆきララ」ゆきララ(北海道)2020年に品種登録され、4月下旬~7月上旬に道内を中心に出回る。雪国北海道にて春の収穫の心躍る楽しさを表現した名前に。
秋田県「そよかの」農研機構東北農業研究センターで育成された希少品種。6月~7月に出回り、「そよかぜの吹き渡る野で収穫」するイメージより命名。
山形県「おとめ心」おとめ心(山形県)4月~6月の初夏の頃に出回る「おとめ心」の果実は、しっかりとしていて、日持ちのよさが最大の特徴。
東京都「東京おひさまベリー」4月~5月に出回る、ビニールハウスが不要な露地栽培向けの「東京おひさまベリー」。家庭用プランターでの栽培も可能。
山梨県「かいサマー」7月~10月に収穫される「かいサマー」。「甲斐(かい)国」で生まれた、盛夏期にも連続収穫可能で食味もよい四季成り性のいちご。
長野県「サマーリリカル」サマーリリカル(長野県)6月~11月に出回る。名前の「lyrical(リリカル/抒情的・感情豊かな)」は、すべての人に感動を与える品種となることを願ってつけられた。
徳島県「サマーアミーゴ」夏季の冷涼な気象条件を生かし、標高の高い所で主に栽培される。輸送性が高く、業務用に適した夏秋どり品種。
ご当地いちご自慢
県が独自に開発した品種以外にも、各所で「愛されるいちご」作りが盛んに行われています。
青森県八戸市は昭和28年頃よりいちごの生産を本格的に始め、今では県内最大の産地として「さちのか」や「すずあかね」などの品種を「八戸いちご」の名で生産しています。
大阪府では、厳しい基準をクリアした「紅ほっぺ」を「ちはや姫」という愛称でブランド化しています。
島根県安来市は、古くからのいちごの産地で、「完熟」にこだわり、地元を中心に販売しています。日照時間が短いため、ゆっくり時間をかけて熟成させるのが安来(やすぎ)のいちごのおいしさの秘訣です。
くだもの王国、岡山県では、“晴れの国”で太陽をいっぱい浴びて栽培された最高級ブランドいちご「晴苺(はれいちご)」が登場しました。果皮だけでなく、果肉まで赤色であることを特徴とし、「ハレの日」の贈り物にぴったりです。
晴苺(岡山県)日本のいちご作付面積第5位を誇る長崎県では、「ゆめのか」や「恋みのり」の生産に力を入れています。すぐに冷蔵庫へ保存するなど、徹底された鮮度管理がおいしさの秘訣です。
宮崎県では「さがほのか」の流通が盛んなほか、県が独自に基準を設け、それを満たしたいちごのみを認証する「みやざきフレッシュいちご」もあります。
【豆知識】
世界一のいちご生産国は?国際連合食糧農業機関(FAO)データ 「FAOSTAT(2021年)」によると1位は中国(338万トン)、2位はアメリカ (121万トン)、3位はトルコ(67万トン)と続き、日本は11位(16万トン)。