神奈川県の海沿いの町で日本文化を研究する広田千悦子さん。
「四季折々に行事としつらいの教室を行っています。そのとき、生徒さんと季節のうつろいを感じられる和菓子を楽しみます」。
ある日、東京に来た際、見つけたのが「まゆら」です。
「儀礼のシンボルで縁起物の“繭”。その言葉の響きと、口に含んだときの上品な甘さと柔らかな弾力、そして、どこか懐かしい山の味・わらびの風味が調和しています」。
豊かな緑に囲まれたアトリエでの生徒さんとのお茶の時間は、広田さんにとって大切なひととき。涼やかなガラスの器に盛られた「まゆら」は、黒蜜と抹茶蜜の2種類で、蜜とともに瓶詰めされている。きな粉とうぐいす粉は、さっぱりとした大豆のうまみを感じる。日本料理店「くろぎ」の特製で、本わらび粉100パーセントの逸品。桐箱入りで、特別なかたへの手土産にもおすすめです。
「まゆら」4000円(税込)。東京大学の構内にある和菓子店「廚 菓子 くろぎ」でのみ販売。購入は前日までに要予約。日持ちは購入から2日間。/廚 菓子 くろぎ「手触りのよい桐箱を開けると、瓶に入ったわらび餅が粛然と並んでいます。抹茶の緑と、黒蜜の黒が、和の色の美しさを感じさせてくれます」。
広田千悦子(ひろた・ちえこ)さん
日本の行事・歳時記研究家。横須賀市の秋谷を拠点に、全国で日本文化の講演会や講座を行う。『おうちで楽しむ にほんの行事』『鳩居堂の歳時記』など著書多数。 Information
廚 菓子 くろぎ
東京都文京区本郷7-3-1
国立大学法人 東京大学 本郷キャンパス春日門側
ダイワユビキタス学術研究館1階
表示価格はすべて税込みです。
撮影/大泉省吾(料理) 広田行正(人物)
「家庭画報」2019年7月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。