ドイツのワインを知っておくと、ワイン選びがグッと楽になります。歴史と伝統に裏打ちされ、確かな品質を誇るドイツワインにはさまざまなタイプがあり、いずれもデイリーライフに寄り添うフレンドリーで頼もしい存在。時代に合わせ、刻々と進化し続けています。そんなドイツワインの最新情報を、現地から3回にわたってお届けします。本物志向の方にもアクセスしやすいドイツワインを見直してみませんか。
ドイツワイン=甘口???
ドイツワインといえばやや甘口でフルーティ。今でもそう思っているのでしたら、それはひと昔前のこと。
銘醸地ドイツのワインはどんどん進化し、ライトでイノベーティブな現代の食のトレンドにフィットするものや、日常の食卓にも合わせやすいものがたくさんあります。ドイツのレストランやワインバーでは、モダンなスタイルのスパークリングワインや、醸してうっすらとオレンジ色を帯びた白ワインなど、さまざまなワインが見つかります。
ドイツワインを知っていれば、セレクトの幅が広がるだけでなく、日々の暮らしが一層豊かに。ワインを選ぶときの選択肢に、ぜひドイツ産ワインを加えたいものです。まずは、ドイツワインの基礎知識をおさらいしましょう。
ドイツワイン早わかり
フランスやイタリア、スペインなどと並び、古くからワイン造りの歴史をもつドイツ。
古代ローマ人がブドウを植えたモーゼル川やライン川の一帯は、今では世界有数のワイン産地として知られています。ワイン産地としてはほぼ北限の冷涼な地域に属し、気候変動が著しい昨今においても安定した品質を保つドイツワインは、注目の的でもあります。
ユニークな13のワイン産地
ドイツは国土の広さでいうと日本とほぼ同じですが、緯度が高いため平均気温は日本より低くなります。ブドウは寒すぎる土地では栽培できないので、ワイン産地は南西地区と北東地区の一部に広がっています。
モーゼルやラインガウ、バーデン、ファルツなど13の地域に分けられ、バラエティに富んだ気候と土壌のもと、風土を反映したユニークなワインが造られています。
白ワインならお任せあれ
ドイツワインというと白を思い浮かべる方も多いでしょう。豊かな酸と深みのあるコクをもつリースリングはドイツを代表する白ブドウ品種で、世界の約60%を栽培しています。ほかにミュラー・トゥルガウやジルヴァーナー、ヴァイスブルグンダーなど多様な白ブドウ品種があり、すっきりフルーティなタイプからリッチでコクのあるタイプまで、さまざまな白ワインが造られます。
生産量が高まる人気の赤ワイン
ドイツの赤ワインの人気が、生産量とともに上昇しているのも知っておきたいこと。
ドイツのブドウ栽培面積の約35%はシュペートブルグンダー(ドイツではピノ・ノワールをこう呼びます)をはじめとする赤ワイン品種で、冷涼な土地から生まれるすっきりとエレガントな印象の赤ワインは、目下、世界中のレストランのペアリングでも活躍しています。
乾杯はゼクトで
忘れてならないのがゼクト。ドイツのスパークリングワインのことです。
ドイツは世界で生産されている20億本のスパークリングワインの約4分の1を消費する泡大国。熟成期間や泡の圧など細かい基準をクリアしたものだけが、ゼクトを名乗ることができ、ドイツ産のブドウを使ったものは特別にドイッチャーゼクトと呼ばれます。ドイツはビールだけではないのです。
第2回は、35歳以下の生産者による「ジェネレーション・リースリング」に見るドイツワイン最前線! をお届けします。
谷 宏美
ワインライター、J.S.A.認定ワインエキスパート
ファッション誌の美容エディターを経て、2018年よりフリーに。メディアや広告のワイン及びビューティの分野で取材・執筆を手がけつつ、ワインバー「ローディ」のディレクターとして、ワインの仕入れやサービスを行う。