【アン グラン】(東京・南青山)
「アン グラン」の「シェフズカウンター」から、パイナップルなどをふんだんに使った、トロピカルなひと皿。「アシェットデセール」をご存じ?アートのようなデザートを作りたてで味わおう!
「アシェットデセール」というフランス語をご存じですか? アシェットは「皿」、デセールは「デザート」のことで、つまり「皿盛りのデザート」を意味します。
作りたてのおいしさが醍醐味のアシェットデセール
テイクアウトを前提にして作られるケーキなどと違い、アシェットデセールは、作りたてのデザートをその場で味わうスタイル。1枚のお皿の上に盛られた、冷たいアイスやとろけるソースを使った美しいデザートを味わえるのが魅力です。近年、アシェットデセールを楽しめるお店が増えています。
シェフズカウンターより、トマトの酸味がきいたひと皿。目の前でデザートが作られる「シェフズカウンター」
東京・南青山にある「アン グラン」では、シェフが目の前で作り出してくれるアシェットデセールを、コース仕立てで楽しめる「シェフズカウンター」を催しています。シェフズカウンターは、冬季を除き、不定期で行われる特別な催しです。
カウンターで次々と美しいデザートを作り出す昆布智成シェフ。「シェフズカウンター」は、季節・コース内容によって価格が替わる。一例として4500~6000円。小菓子専門店が始めたスイーツの特別コース
こちらのお店は、本来「ミニャルディーズ」の専門店。ミニャルディーズとは、フレンチのコースの最後に、お茶やコーヒーとともに出される愛らしい小菓子のことです。ミニャルディーズのテイクアウトがメインのお店ですが、「作りたてならではのおいしさや繊細さを、もっと知ってもらいたい」として、この「シェフズカウンター」を始めました。
目の前でシェフが盛りつける様子を眺められるのが、シェフズカウンターならではの楽しみ。コースは全4品のデザート+焼き菓子
シェフズカウンターでは、4品のデザートと食後のマカロンがコース仕立てで出されます。カウンターに座ると笑顔で迎えてくれるのは、昆布智成シェフ。「今日は暑い日ですから、さっぱりする一品からスタートしますね」と話しながら、目の前であっという間にでき上がったのは、トマトを使ったひと皿です。
トマトが主役の爽やかなデザート
シェフの出身地でもある福井の「恋の実」という新しい品種を主役にしたこのひと皿。糖度が高くかつ酸味のしっかりきいたトマトのソルベに、新生姜とレモングラスのブランマンジェ、モヒートのジュレを合わせ、外の暑さを忘れさせてくれる爽快な味わいでコースの幕開けです。
バインミー(ベトナム料理のサンドイッチ)に着想を得たトロピカルな一品。器にもこだわる昆布シェフは、日本の作家ものや北欧の、シンプルながらあたたかみのある器が特にお好み。ベトナム料理から生まれたデザート!?
「次のデザートは、ベトナム料理のバインミーにインスピレーションを得ているんですよ」と、いたずらっぽく微笑むシェフの手には、フレッシュなサラダのような一品が。
パクチーにコーヒー豆……。一体どんな味?
ひとさじ口にすると、とろけるココナッツアイスとトロピカルフルーツのエキゾチックな味わいが広がり、後からジャスミンクリームが華やかに香ります。そこにアクセントを加えているのが、フレッシュなパクチーと、なんと砕いたコーヒー豆の苦み。意外な食材に、カウンター越しのシェフとの会話もいっそう盛り上がります。
桃のサラダからアイディアが生まれたという「桃と“黄金の梅”のクレームダンジュ」には、フレッシュなラディッシュを散らして。ベルベーヌ風味の砕いたメレンゲが食感のアクセントに。シェフとの会話も楽しみのひとつ
産地を度々訪れるというシェフに食材にまつわるエピソードを伺いながら、3品目に続いて、いよいよメインの「桃と梅のクレームダンジュ」へ。
とろけるような桃の甘みに完熟した梅の風味、そして自家製のエルダーフラワーシロップで作ったクレームダンジュと、幾重にも重なる繊細な風味のハーモニーは、作りたてでしか味わえない贅沢です。
コースの最後には、「ピエール・エルメ」で研鑽を積んだ昆布シェフが考案した、薄焼きマカロンのミニャルディーズが。味わい深さはそのままに、食感が軽やか。会員限定の特別なコース
コースは、お茶と薄焼きマカロンのミニャルディーズで締めくくられます。1回3席限定で、不定期に開催される、会員限定の特別なコースです。会員登録は無料で行えますが、登録できるのは店頭のみ。店頭には、愛らしいミニャルディーズが宝石のように並んでいます。まずはぜひ、お店にお出かけになってみてください。
Information
アン グラン
東京都港区南青山6-8-17 プルミエビル 1階
この夏女性同士で訪ねたい、大人のための「涼スイーツ」のお店
価格はすべて税抜きです。別途、サービス料がかかる場合があります。料理は、状況によって食材や盛りつけなど、一部内容が変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。 撮影/西山 航(世界文化社)