料理研究家のお取り寄せ帳公開 最終回(全5回) “新しい生活様式”とともに、美食の「お取り寄せ」が目覚ましく進化し、盛り上がりを見せています。日頃から確かな目で食のアンテナを張る料理研究家の皆さまご推薦の全国各地の美味をご紹介します。
前回の記事はこちら>> ぶりもチーズも野菜もナチュラルでやさしい味わいふわりと柑橘の香りが広がる「平戸夏香ブリ」は、刺し身はもちろん、塩をして焼くだけでも充分おいしい一品。今回、ぶりは塩をして焼き、ゆでたブロッコリーとあえてパスタに。「長谷川治療院農業部」の野菜は「箱を開けたときに、畑の空気まで運んでもらったようないい匂いがするんです」。塩分5パーセントでうまみたっぷりの味噌はそのまま野菜に添えてディップに。オーガニックのコンテチーズは「こんなに上品なうまみは初めて」と酒井美香さんも絶賛。美味との出合いを大切に。一期一会のお取り寄せ
酒井美香(さかい・みか)さん数々の人気店でデリカテッセンのメニュー開発に携わる。ひねりの効いたスパイスやハーブ、雑穀使いと、シンプル&ナチュラルなデリレシピが好評。松浦弥太郎さん主宰のサイト「くらしのきほん」の料理担当も。都内のカフェやブーランジェリーのデリカテッセンメニューの開発も手がける酒井美香さん。流行の先端を把握しつつ、国内外の食材情報へのアンテナを張り続けています。「お取り寄せは、旅で出合ったり、信頼できるかたから教えてもらったりしたものが多いです」。
栗駒高原の森の香りを閉じ込めたピュアな味わい「サラリとくせがなく、これまで食べたはちみつの中でいちばんおいしい」。宮城県栗駒山の山麓に広がる高原には、樹齢100年以上のトチの木が自生。その花みつを主体に採みつ。酒井さんはスライスしたレモンをはちみつに漬けて常備しているそう。水や炭酸で割って、冬はホットでレモネードに。ドレッシングの隠し味にも重宝。仕事で長崎を訪れたときには、餌にみかんを混ぜて育てたぶりを。デリの隠し味として使う味噌を研究したときは、追い麴をしたうまみたっぷりの味噌を見つけてファンになりました。
栗駒山のはちみつは、くせのないサラリとした風味に惹かれたから。長野の有機栽培の野菜には、旬の力強さを見出しました。
酒井さんが選ぶのは基本、スタンダードなもの。そして、作り手の真摯な思いがこもったものばかりです。
八角の香りが食欲をそそる竹皮で包んだ手作りの味創業40年、東京・六本木の老舗中国家庭料理店のとっておきのちまき。化学調味料を使わない、季節感を感じる料理に、何十年も通い続けている大勢のファンが。「具だくさんのちまきは、上品な味つけで、冷凍庫に常備しておけば、お酒の締めにも、忙しいときの食事にもなって重宝します」。中身はゴロリと大ぶりの豚肉としいたけ。 表示価格は税込みと記載のあるもの以外は原則として税抜きです。
撮影/阿部 浩 取材・文/北村美香
『家庭画報』2020年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。