「美しい家具」と暮らす 最終回(全21回) おうち時間の質が求められる時代にあって、インテリアの世界では本物志向のハイエンド家具の動きが好調です。空間と時間の価値を高めてくれる、「美しい家具」のある暮らしを訪ねました。
前回の記事はこちら>> インテリアデザイナー コマタトモコさんが指南する「家具ブランドショールーム」
家庭画報本誌でもおなじみのインテリアデザイナー、コマタトモコさん。彼女が空間づくりで大切にしているのが「ストーリー&ヒストリー」。家具は持ち主の個性を表し、固有の物語を宿しているとの思いです。
それゆえに長く愛せるものを選んでほしいと話すコマタさんに、ラグジュアリー家具の選び方を教えていただきました。
2019年に発表されたソファ「ウエスト」は多方向への着座を可能にする、組み合わせ自在なモジュラーソファ。テーラーメイドにも通じる高い縫製技術で仕立てられ、シートクッションには最上のグースダウンを使用。極上の座り心地を実現している。「一流ブランドのショールームは、ラグジュアリーな空間です」
コマタトモコさん表参道にあるモルテーニの旗艦店にて。内装を手がけたのはミラノを拠点に活躍するデザイナー、パトリシア・ウルキオラ。吹き抜けに面した高さ7メートルの壁に設置された円形の意匠は、京都・光明院の丸窓から着想を得たものだという。ソファ選びは暮らし選び、もっと自由に
家具は自分らしさを表現し、住まい手のライフスタイルを実現させる存在です。それだけではなく、家族の思い出や家の歴史を写し出す鏡でもあるため、機能性だけではなく、長く愛せるものを選ぶことが重要。
なかでもダイニングやリビングといった長い時間を過ごす場所は、家具の選び方、配置の仕方が日々の暮らし方に直結します。そのため、家具選びに際しては、まず自分のライフスタイルを考えてみることが大切です。
例えば、夫婦2人暮らしで、普段ソファでゆっくり過ごす時間がとれないというご家庭なら、座面が高めのラウンジソファをダイニングテーブルと組み合わせ、食事もくつろぎも1か所で叶える“ラウンジダイニング"という選択もあります。実際、わが家もラウンジダイニングを採用していますが、日々の暮らしに合っているため、快適です。
“ラウンジダイニング"という考え方も空間の中央にL形・I形の特注ソファを配置。I形ソファからは眺望が、L形ソファはテーブルと組み合わせてダイニングスペースとしても使用できる。設計/横堀建築設計事務所 写真/斎藤幹朗今、計画中のお客さまの中には、別荘にダイニングテーブルは不要というかたもおられます。そのかたは、キッチンまわりのカウンターにダイニングチェアを合わせて食事はそこでとり、テーブルのスペースが空いた分、大きなソファを2セット置きたいとのことでした。
“多方向性"ソファが自由度を高める庭を眺められるように配置したソファ。部屋の入り口からは背面が見えるため、ローバックで背もたれのない多方向なアイテムが選ばれている。設計/横堀建築設計事務所 写真/ナカサ&パートナーズこのように、それぞれの暮らしによって家具のセレクトは変わります。家具選びの際は「ダイニングセット」、「リビングセット」という固定概念に縛られず、ライフスタイルに合わせて自由に選んでいただきたいと思います。