英国ポタリーのある暮らし 第5回(全8回) 英国近現代陶芸の礎は、世界中でスペイン風邪が猛威を振るった頃と重なる1920年に、陶芸家のバーナード・リーチと濱田庄司がともに大志を抱いて船で英国へ渡り、東洋式の登り窯を築いたことに始まります。そして、当時二人が研究し再現したスリップウェアは、日本における民藝運動の原動力にもなりました。それから100年、英国は2000以上ものスタジオ・ポタリー(陶芸工房)が存在する欧州随一の陶芸大国に。両国の絆を象徴するスリップウェアを中心に、英国陶芸の今をご紹介します。
前回の記事はこちら>> 和の料理にもよく合う魅惑の緑色【パティア・デイヴィスさん】
温かな質感とともに、低火度の焼成による柔らかな色味もスリップウェアの特徴。華やかでありながら落ちついた緑がアクセントになり、見る人の心を惹きつけるのはパティア・デイヴィスさんの器です。
右・自作のボトル型薪窯。左・焼成前の作品が並ぶ工房は、イングランドとウェールズの境界近くにある共同工房、ウォベージファーム・ワークショップ内にある。(撮影/梶山 正)角皿やオーバルサーバーなど、手がける作品の多くが土を板状にしたタタラに文様を施してから成形する昔ながらの方法で制作。そして、空き缶で作った手作りの道具を使ってスリップを垂らすように描いてゆく独自のトレーリング技法による文様のデザインは、18〜19世紀にイングランド中西部のスタッフォードシャー州で作られていたスリップウェアがベースになっているのだそう。
伝統を重んじながらもどこか抽象芸術を思わせる洗練された作風に、パティアさんの卓越したセンスが窺えます。スリップのとろんとしたテクスチャーを生かした文様が、器にしっとりとした落ち着きを与え、和食を盛っても和食器とコーディネートしても美しく調和します。
スモールプレートを鎚つい起き銅器の盆に重ねて銘々皿として使用。シックな色調は漆器や銅器にも合う。★スモールスクエアプレート(幅14×奥行き14×高さ3センチ)各柄1万3200円、★スモールラウンドプレート(直径16×高さ2.8センチ)各柄1万3200円。大橋保隆作・八寸銅盆/うつわ楓タタラを型にのせて成形した細長いフォルムのサーバー。右のロングサイズは、テーブルの主役に最適な迫力ある一品。
★ロングオーバルサーバー(幅56.5×奥行き21×高さ4.9センチ)6万3800円。造形的な持ち手がついた左2つは、前菜やスイーツを盛っても。★オーバルサーバー(幅42×奥行き9.5×高さ4.3センチ)各柄3万3000円。スリムな形はテーブル上での収まりがよく、コーディネートに変化がつく。★がついている作品は誌上販売対象商品です。記事下のご案内を参照ください。手作り品のため、一点一点サイズや色、形、仕上がりなどが写真や説明と異なる場合があります。記載しているサイズはすべておおよその大きさです。 掲載商品を家庭画報.comで販売いたします
本特集の掲載作品(各説明文で★印がついているもの)を中心に、ギャラリー・セントアイヴス(東京都世田谷区)で取り扱いのスリップウェアを家庭画報.comにて期間限定・数量限定で販売いたします。
販売期間:2022年1月28日(金)18時 ~ 3月31日(木)17時
商品の詳細・購入はこちら:https://www.kateigaho.com/tags/202202pottery/
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ギャラリー・セントアイヴス開業21年を迎えた2021年11月にリニューアルオープンし、より多くの作品と出会えるようになった現代英国陶芸専門ギャラリー。今回ご紹介した作家のものをはじめ、店主の井坂浩一郎さんが現地の窯を巡って親交を深めてきた約30名の英国陶芸家作品を、常設展や年約5回の企画展で紹介している。
東京都世田谷区深沢3-5-13
TEL:03(3705)3050
営業時間:12時〜18時
定休日:月曜・火曜・水曜定休(企画展会期中の休みはホームページ https://www.gallery-st-ives.co.jp/にてお知らせ)、不定休あり 表示価格はすべて税込みです。
撮影/本誌・西山 航 スタイリング・フードコーディネート/梶井明美 取材・文/鈴木博美 撮影・取材協力/井坂浩一郎(ギャラリー・セントアイヴス)
『家庭画報』2022年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。