普段使いのぬりもの(漆器) 第6回(全10回) より質の高い器を買い求める機運が高まっています。これまで、敷居が高いと敬遠されてきた漆器人気もその流れのひとつ。手に取り、唇に触れるたびに心が和む木の器は、殺伐とした時代にあってゆとりを取り戻す“癒やしの器”としての側面が再評価されています。
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「重くない」漆器の利点が今のニーズにマッチする
使ってこそ良さがわかる漆器。使い心地はもちろんですが、その重量感は陶磁器に比べて格段に軽く、出し入れも洗い物もストレスフリーです。
特に実感するのは大きな皿や鉢だと話すのはスペースたかもりの高森寬子さん。「年齢を重ねて大きな器の扱いが負担になったと、漆をお求めのかたが増えましたね。例えば鍋物の材料を盛る大皿を漆にすると驚くほど楽になります」。
また、「手が不自由になられたお客さまが日々の器を漆に替えたいといらっしゃったことも」とギャラリーやなせの柳瀬佳代さん。美しく機能的な漆の器は高齢化社会をやさしく支えます。
レッスン1・2は前回の記事を参照>>Lesson3
大皿・大鉢は軽いほうがいい
伏見眞樹(Maki Fushimi)挽目の勢いを生かした拭き漆のお盆を大皿に見立てて。ハード系の食事パンをたっぷり盛っても楽に扱える。「拭漆尺二挽目盆」(径36×高さ2.5センチ)5万5000円/スペースたかもり
福田敏雄(Toshio Fukuda)軽やかな器の中でふんわり空気をまとった野菜がおいしそう。「サラダボール9寸(朱)」(径27.5×高さ9.5センチ)5万2800円/スペースたかもり 「銘々皿 無地」加藤那美子 作(径14×高さ2センチ)各7700円、「漆の木を植える菜箸(黒ボーダー)」加藤那美子 作(28センチ)1540円/すべてギャラリーやなせ
掲載漆器についてのお問い合わせは、『家庭画報』2022年5月号96~97ページまたは、
第2回のギャラリーをご参照ください。 撮影/本誌・西山 航 取材・文/井伊左千穂 スタイリング/梶井明美
『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。