一周忌を前に瀬戸内寂聴さんを偲ぶ
2021年11月に逝去した作家・瀬戸内寂聴さん。その生きざまや紡いだ言葉、華やかな交友録を紹介する展覧会『たくさんの愛を、ありがとう 追悼 瀬戸内寂聴展』が、この夏、日本橋高島屋で開催されます(大阪・京都で巡回展あり)。
キラキラとした笑顔が記憶に残る瀬戸内寂聴さん。撮影/斉藤ユーリ人を愛し、その哀しみに寄り添い続けた寂聴さんの“心”に迫る、大回顧展の見どころをご紹介しましょう。
作家、僧侶、人間――
7つのテーマで99年の生涯を巡る
「結局、人は、人を愛するために、愛されるために、この世に送り出されたのだと最期に信じる。」――瀬戸内寂聴
本展では、寂聴さんが私たちに残した心に響く言葉とともに、「人生の原点」、「瀬戸内晴美の文学」、「出家得度」、「僧侶の顔」、「寂聴源氏の世界」、「交友録」、「晩年と未来」という7章仕立てで、幼少期から晩年までの軌跡を辿ります。
三谷晴美のペンネームで少女小説を書いていた29歳の頃。寂庵の書斎を会場に再現
一人ひとりの心に残る作品に思いを馳せて
「あの世から生まれ変わっても、私はまた小説家でありたい。それも女の。」――瀬戸内寂聴
作家として最後まで筆を執り続けた寂聴さん。代表作『夏の終り』をはじめ、『花に問え』、『白道』、晩年情熱を傾けた源氏物語の現代語訳“瀬戸内源氏”など、作品は多岐にわたります。
京都嵯峨野にある寂庵の書斎で筆を走らせる寂聴さん。撮影/勝山泰佑会場では、多くの作品が生まれる場となった寂庵の書斎を原寸サイズで再現。作家の息づかいが聞こえてくるような展示は必見です。
アートピースや往復書簡、
親交を深めた著名人らとの絆を物語る品々
「振り返って見れば、私の出逢った人々の何と魅力的だったことか。すべての出会いは摩訶不思議な縁による。縁は人間の思案の外のものだから意外で奇なる結果を産むから面白い。」――瀬戸内寂聴
寂聴さんといえば、そのチャーミングな人柄で愛され、著名人との交流も盛んだったことで知られています。
本展では横尾忠則さんが寂聴さんへ寄せた作品をはじめ、数々の貴重なアートピースや書簡、ゆかりの品を間近に見ることができます。広く、そして深い寂聴さんの交友録に驚かれることでしょう。
横尾忠則さん作の『寂庵ポスター』。ポスターの中央で寂聴さんが担いでいる『桃源郷はここ』の原書も会場で見られる。8月の日本橋を皮切りに、9月に大阪高島屋、10月に京都高島屋での巡回展もあるので、お近くの会場に足を運んでみてはいかが。
たくさんの愛を、ありがとう
追悼 瀬戸内寂聴展
会期 2022年8月3日~22日
会場 日本橋高島屋S.C.本館8階ホール
入場時間 10時30分~19時(19時30分閉場)※最終日は~17時30分(18時閉場)
入場料 一般1000円、大学・高校生800円、中学生以下無料
お問い合わせ/日本橋高島屋 電話03-3211-4111(代表)
巡回展
9月14日~26日 大阪高島屋
10月12日~31日 京都高島屋
公式サイトで展覧会情報を詳しく>> 価格は税込みです。