母娘(おやこ)いっしょにもっと元気で、いきいきと 第10回(全11回) これからの日々を心身ともにもっと健やかに過ごすためのさまざまなヒントをお伝えします。たとえば、母と娘がよい関係で年を重ねるコツ、いつまでも美しく若々しくいる秘訣、健康のためにできること──などなど。母、娘どちらの立場のかたにも役に立つ「人生を豊かにするヒント」を一緒に探していきましょう。
前回の記事はこちら>> 人生100年時代の遺産相続「母と娘の幸福対策とは」
相続対策とは、本来、遺された家族が安心して人生を楽しむことができるためになされるもの。争うことなく、さらに母と娘の絆は強くなる幸せな相続のヒントを専門家に教えていただきました。
教えていただいた先生は
税理士・税理士法人 タクトコンサルティング 本郷 尚先生ほんごう・たかし 相続、贈与、事業継承、土地活用、財産管理を中心とした資産税専門の税理士。講演・執筆など幅広く活躍し、また“心”を大切にした新しい考え方の相続対策に力を入れている。独自の視点で描いた著書多数。「娘」の立場から考える
「親をあてにせず、感謝の気持ちを忘れずに」子どもは、親の決めた相続には黙って従いましょう。先に述べたとおり、夫婦の財産は夫婦のものだからです。
一次相続では、母親が老後の心配なく、自立して暮らせることを最優先に。生涯、手にできる最後の大きなお金になる可能性が高いため、遺留分の権利を求める子どもたちも少なくありません。でも子どもは、母親が亡くなった後に、遺った分を相続すればよいのです。
母親の好意で贈与を受けた場合には、必ず感謝の気持ちを伝えましょう。育ててくれた感謝、いただいた感謝を実際に言葉に出して伝えることで、絆はより深まります。
贈与を受けても電話ひとつ、手紙ひとつないという例はよく聞きます。でも、贈与は相続の際には決してできない、直接本人にお礼をいうことができる好機。贈与は、“心のキャッチボール”なのです。
母親が亡くなった後の相続でも、感謝の気持ちが基本。兄弟姉妹間で争うことなく、親の意向を汲み取ってください。家族の中に、裁判や調停を持ち込まないように。たとえ、数字の上でもらえる金額が増えて裁判に勝ったとしても、幸せな結果にはなりません。
相続で争いを避けるには、“母性愛”で考えてみることをおすすめしています。損得や勝ち負け、財産中心の考えよりも、協調性、思いやり、分け合う、譲り合い、家族の幸せ、絆の精神で。母親から受けた、こういった愛情をお返しするような気持ちでいれば、家族が争う“争族”にはならないでしょう。