北側の大開口から、広い庭や地域のシンボルである六甲山麓が眺められる兵庫県Y邸のキッチン。一室空間型
庭とつながる、家族がつながるオープンキッチン
――Y邸(兵庫県・芦屋)
緑豊かな芦屋の山の手に建つYさんご一家の住まい。築地塀に囲まれた1000平方メートル超の広い敷地には、水回り空間を納めた新築平屋の母屋と、築100年の蔵の中に主寝室などの個室を納めた離れが、樹木を介して向き合うようにゆったりと配置されています。
キッチンとつながるアウトドアリビング。室内から数段下げたところに配置されたアウトドアリビング。キッチンからはアイアンの格子戸を開けてすぐなので利便性が高い。最近、家族に加わった山羊のメェちゃんは芝刈りの役割も。以前は近くのマンションにお住まいだったYさんは、恵まれた立地を得て「自然と一体感のある暮らし」を希望。設計を担当したマニエラ建築設計事務所の大江一夫さんはその想いを受け、塀と豊かな緑に囲まれた敷地を生かして母屋をガラス張りのモダンな佇まいとして提案しました。
リビング側から見たキッチン。アイランド型のオープンキッチンは、周囲が回遊動線となることで効率よく動けるのが魅力。Y邸では「ユーロモビル」のキッチンに「ボッシュ」の食洗機や「ASKO」のガスコンロ、「ハンスグローエ」の水栓、「シーガルフォー」の浄水器を採用。壁面キャビネットには美観にも優れたビルトイン家電が納められている。設計/マニエラ建築設計事務所完成した母屋のオープンキッチンからは、天井まであるアイアンの格子窓の向こうに芝生敷きの庭や六甲山麓が眺められます。 「キッチンはわが家の特等席。外の景観だけではなく、室内に目を向ければ部屋で過ごす子どもたちの様子も目に入るので安心感があります」と奥さま。
キッチンからリビングまでを完全一室空間に! 天井高3.2メートルの一室空間にオープンキッチンが美しく調和するY邸。濃淡のあるヘリンボーン仕上げの床が、ダイニングテーブルやチェア、カウンターや壁面キャビネットの色味をつないでいる。ご夫妻で4軒のショールームを巡る中、ひと目惚れをしたというキッチンはイタリアの高級ブランド、「ユーロモビル」のもの。シンク前に配置されたカウンターのウォールナットの木目に合わせて床や壁面のキッチンキャビネットの素材、色味が整えられ、空間に調和するオープンキッチンが誕生しました。
デッキからコンクリートスラブのステップを下り、水盤を渡ったところにあるアウトドアリビング。樹木と外塀に守られた庭は、子どもたちの安全な遊び場でもある。このキッチンからは庭先の水盤の上に設けられたアウトドアリビングへのアクセスも良好です。
「わが家では、天候のよい休日には朝から晩まで外で過ごすこともよくあります。家族揃って自然の中で食事するのが心地よいからですが、頻度の高さはキッチンとの距離が近いせいかもしれません。食材や飲み物などを取りに行きやすく、使い勝手がとてもいいですから」。
庭とつながるオープンキッチンは、家族をもつなげる豊かな包容力があるようです。
撮影/本誌・大見謝星斗 スタイリング/山田喜美子 取材・文/冨部志保子
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。