暮らしの中心にある 憧れの豪邸キッチン 第2回(全8回) キッチンを住まいの中心に据えたいというニーズが高まりを見せています。ここでは住まい手のライフスタイルに応じた今どきの豪邸キッチンのつくり方を実例を交えてご紹介します。
前回の記事はこちら>> 憧れのキッチン大解剖
今どきの豪邸キッチン設計術 1
モダンな一室空間の主役をなすY邸のキッチン。そこに秘められた工夫を紐解きます。
1.カウンターテーブル――何かと重宝
ダイニング側に張り出したカウンターがあれば、できたての料理の配膳や食べた後の食器などを運ぶのもより簡便に。白いアイランドキッチンのアクセントとなっているのが、シンク側に配置したカウンター。フラットな天板にカウンターでやや立ち上がりをつけることで、オープンキッチンの開放感と美観を保ちながら、炊事中の手もとを隠し、水跳ねを防ぐという実用性も満たしています。
2.ビルトイン設備――窓付きワインセラー・腰高のオーブン
家電類をビルトインで設置すると空間に段差がなくなり、また空間に余裕ができるため、作業スペースをより増やすことができる。壁面キャビネットには「AEG」のオーブンと、ワインセラーが一体となった「リープヘル」の冷凍冷蔵庫をビルトイン。ビルトインオーブンは高火力で調理の時短につながり、ワインセラー付きの冷凍冷蔵庫はその上質な佇まいでキッチンを格上げしてくれます。
3.造作棚――飾って楽しい趣味スペース
インテリアに統一感を持たせるうえで重要な役割を担う造作棚。Y邸では現物を製作する前にモックアップ(模型)をつくり、飾り方も検討したそう。気に入って集めた食器類は見えない場所にしまい込むより、飾って見せたいもの。Y邸ではそのためにディスプレイしたいものにサイズを合わせ、さらにキッチンのカウンターと色を統一させた造作棚を設置。キッチンに趣味性の高いものを飾ることで“インテリアとしてのキッチン”がより強調されます。
4.パントリー――バックヤードは必須
オープンキッチンを常に美しく保つために不可欠なのが、ストック品やキッチン家電などをしまうパントリー。Y邸ではキャビネットの背面に、棚とデスクスペースを設けたウォークインタイプのパントリーを設置。ちょっとした作業もできるようになっています。奥さまが以前、東京のトルコ雑貨店で購入したというタイルをパントリーの床に採用。エキゾチックな模様がモダンな空間に個性を添えている。5.大容量収納――必要なところに必要なものを
壁面キャビネット中央の扉はスライドイン(垂直収納扉)なので、使用時に開け放しても動線を妨げない。毎日の料理に使うものはキッチンや壁側のキャビネットに効率よく納めたいもの。奥行きが95センチあるY邸のアイランドキッチンは、その深い奥行きを生かし、ダイニング側にも収納スペースが設置されているため、使用頻度などによってしまう場所の使い分けが可能。
6.アウトドアリビング――屋外が人気
コンクリートスラブのベンチに屋外用のシートクッションを組み合わせたY邸のアウトドアリビング。屋根の代わりに敷地内の樹木が緑陰をつくり出す。LDKの延長線上につくることが多いアウトドアリビングですが、大切なのはキッチンとの関係性。特に食事をするならキッチンの近くがベスト。
BBQをするなら専用の炉(コンロ)や屋外用シンクなどを設置しておくのがおすすめです。
撮影/本誌・大見謝星斗 スタイリング/山田喜美子 取材・文/冨部志保子
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。