暮らしの中心にある 憧れの豪邸キッチン 第4回(全8回) キッチンを住まいの中心に据えたいというニーズが高まりを見せています。ここでは住まい手のライフスタイルに応じた今どきの豪邸キッチンのつくり方を実例を交えてご紹介します。
前回の記事はこちら>> 憧れのキッチン大解剖
今どきの豪邸キッチン設計術 2
空間にさらなる広がりをもたらすダイニングレスキッチン。主役感ある佇まいには、幾多の工夫が施されていました。
1.キッチンテーブル――ダイニングレスという発想
コーティング加工を施したシルバートラバーチンを天板に。天然石を大きな面積で使うことでキッチンに迫力がもたらされた。開放感ある空間にしたいというHさんの要望をもとに、キッチン、ダイニング、リビングのあり方を整理した結果、行き着いたのがカウンターを配したダイニングレスキッチン。ダイニング空間をキッチンとまとめることで、リビングに心地よい“視界の抜け”が生まれました。
2.スタジアムアイランド――パフォーマンスの舞台
210×105センチある堂々たるアイランドキッチン。壁側のキャビネットとの間の広さも約90センチあるので、複数で作業をしても十分な広さ。ここにスツールを置いて、カウンターに座るゲストとの会話を楽しみながら、まるで舞台に立つスターのような気分で料理ができます。
コンロ下の引き出しを開けると、中は精巧なつくりで細分化され、レイヤー構造の上部には持ち出し可能なツールボックスやスパイスボックスを装備。必要な道具類がスムーズに手に取れるように組み上げられている。3.ビルトイン収納――美しくしまう
キッチンとともに「アムスタイル」でオーダーしたオークウレタン仕上げの壁面キャビネットに、「リープヘル」のワインセラーをビルトイン。その横には同じく「リープヘル」の冷凍冷蔵庫を組み込み、パネルを本体ドアに取りつけてキャビネットと一体化させ、すっきりと。
キッチン脇のトールキャビネットの中に電気ポットやトースターなどのキッチン家電をまとめて収納。使用頻度は高いものの普段は隠しておきたい炊飯器は、キャビネット内のスライド棚にのせて。4.キッチンは家具――インテリアとの調和・一体化は不可欠
背が低いガラスキャビネットの間仕切りもキッチンを家具のように見せるのに役立っている。キッチンとリビングの中間に配置したのは、「モルテーニ」のキャビネット。中には洋酒のコレクションを入れ、ディスプレイを兼ねた間仕切りに。
グレーのアームレストチェアは、シルバートラバーチンの多様な色との調和から選ばれたもの。天然石のカウンターに合わせたのは「ミノッティ」のアームチェア。キッチンを家具と見立ててインテリアとの調和を図っています。
5.グレードは設備に宿る――ラグジュアリーブランドを知る
料理好きなHさんは、最初からハイカロリーバーナー2口を含む6口のガスコンロ(リンナイ「G:LINE」)を希望。それならばと石上さんが提案したのが、幅120センチの「ガゲナウ」のレンジフード。
ほかに「ミーレ」のオーブン、「ハンスグローエ」の水栓金具と、機能美溢れる上質なキッチン設備が選ばれています。
こだわりの設備機器類が美しく機能的に配置されたキッチン。「Hさんのご要望を受け、使いやすさとともにエレガントなバランスを大切にして選びました」と石上さん。6.アウトドアダイニング――屋外がトレンド
木製サッシを介してキッチンとつながるアウトドアダイニング。キッチンを中心に、くつろぎの場は複数あるのが心地よい。キッチンの脇には、急な夕立にも対処できるよう、屋根付きのアウトドアダイニングを配置。そばにBBQコンロや業務用シンクもあるため、いつでも気軽にBBQが楽しめます。
なお、テラスは室内と床レベルを揃え、ガラス戸を開ければひと続きの空間として利用できます。
撮影/本誌・大見謝星斗 スタイリング/山田喜美子 取材・文/冨部志保子
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。