テーブルコーディネーターやインテリアスタイリストとして『家庭画報』のページを彩ってきた横瀬多美保さん。あらゆるものに美を見いだし、独自の感性でリュクスな空間を創造し続けてきました。そして今、しっくりくるのは上質でありながらもくつろぎ感のあるスタイル、といいます。〝生活の中に、美が息づく〟そんな日々の暮らしに豊かさを添える素敵なアイディアを巡ります。 LESSON 5
ハロウィンのセンターピースは、かぼちゃとりんごでカジュアルに
さまざまなシーンを卓上で演出することが、テーブルコーディネートの醍醐味の一つ。テーブルのセンターピースは、その日の趣向を表現する鍵となります。誰でも気軽に作れて、大人が楽しむハロウィンの集いにぴったりのセンターピースの作り方を教えていただきました。 Tips 1
センターピースでその日の主題を表現する
テーブルの上にテーブルクロスを敷き、器やカトラリーを置いただけでは、どうしても平面的になってしまうもの。テーブルの中心部にセンターピースを置くことで、ぐっと華やぎが生まれ、全体のバランスが引き締まります。「センターピースは、その日のテーマを語る主役のような存在。テーブルコーディネートにとって大切な要素です。少し高さを出すことでテーブル上に立体感を与えます」と多美保さん。ハロウィンを楽しむ今日は、白や茶色のかぼちゃとりんごをセンターピースに。素朴な質感の大きな木製ボウルに盛って、アットホームな雰囲気でテーブルを飾りました。 木彫りのボウルは「アーツ&サイエンス」で見つけたもの。大きなりんごとかぼちゃを盛り、小さな姫りんごでその隙間を埋めた。
Tips 2
大きな器+旬の青果で作るテクニックいらずのセンターピース
センターピースといっても、必ずしも難しいフラワーアレンジメントや高価なキャンドルが必要なわけではありません。古くから静物画のモチーフとして多くの芸術家に愛されてきたフルーツや野菜を、お手持ちの大きな鉢やボウルに盛ってみてください。テーブルに生き生きとした趣が広がり、それだけで絵になるはず。高度なテクニックも必要なく、あまり時間をかけられないような時にもおすすめ。ハロウィンに合わせてかぼちゃとりんごを使いましたが、ほかのシーンにも応用できるアイディアです。気軽でカジュアルなセンターピースは、おもてなしの日ばかりでなく日常のテーブルにも似合います。秋は、特に実ものが豊富な収穫の季節。お好みのフルーツや木の実で試してみてはいかがでしょう。 Tips 3
りんごを使ってキャンドルホルダーを手作り
ハロウィンらしさを演出するために、多美保さんはセンターピースにキャンドルの灯をプラス。「ハロウィンの定番の飾りといえば、かぼちゃをくりぬいたランタンですが、生のかぼちゃをくりぬくのは力も時間もかかって大変。もっと手軽にできるキャンドルのデコレーションは? と考えました」。かぼちゃと飾ったのは、加工しやすいりんごで作ったキャンドルホルダーです。やわらかな光が、テーブル上にセンターピースを美しく浮かび上がらせ、宵を楽しむ大人な趣を演出します。 材料はりんごとティーキャンドルのみ。ティーキャンドルのカップを、りんごのヘタに押し付ける。カップで跡をつけた円の内側を、りんごの芯取りや小さなスプーン、ペティナイフなどでくりぬく。手を怪我しないように注意。
カップに戻したティーキャンドルを、りんごの上から入れる。ティーキャンドルのカップは、アルミ製よりも、りんごの身が透けて見えるプラスチック製がおすすめ。
Tips 4
翌朝は、飾ったりんごをクラフティに
「デコレーションを楽しむためだけでは、もったいないですよね」と、多美保さんはハロウィンを楽しんだ翌朝、キャンドルホルダーだったりんごを使ってクラフティを焼きました。りんごのクラフティは、多美保さんがお母さまから受け継いだレシピの一つ。お子さんが幼い頃から度々作ってきたという、多美保さんの定番の焼き菓子です。簡単なレシピですから、りんごのキャンドルホルダーを楽しんだ後に、ぜひ作ってみてください。オーブンから広がる香ばしい香りと、焼きたてのおいしさは、きっと幸せな一日の始まりを運んできてくれるはずです。 【材料】(10インチのパイ皿1台分)バター大さじ4(フライパンに溶かす分と、パイ皿に塗る分合わせて)
りんご6〜8個分【皮をむき、芯を抜き、塩水につけて5㎜厚さの輪切りにしておく】
砂糖1/2カップ
ラムレーズン【レーズン1/2カップとラム酒1/4カップを混ぜ合わせておく】
種【大サイズの卵3個、砂糖1/2カップ、小麦粉1/4カップ、牛乳1/2カップ、シナモン小さじ1/4を合わせ、よくかき混ぜておく】
生クリーム 適量
【作り方】
①フライパンを火にかけバターを溶かし、りんごを焼いて砂糖をふる。
②パイ皿(10インチ)にバターを塗り、①のリンゴの半量を並べてラムレーズンを散らす。
③①のりんごの残りの半量を重ねて並べ、種を流し入れる。
④200℃に予熱したオーブンで30分焼く。
⑤温かいうちに、半立ての生クリームを添えていただく。
横瀬多美保/Tamiho Yokose
インテリアスタイリスト
東京都生まれ。テーブルコーディネーター、インテリアスタイリスト。テーブルコーディネーターの故クニエダヤスエ氏に師事。女性誌や料理本、百貨店のディスプレイなどのスタイリングに携わる。新旧、和洋を自在に織り交ぜた、モダンでエレガントなコーディネートに定評がある。『家庭画報』とのおつきあいは30年近く。流行や時代の変化をしなやかに受け止めながら、幸福感漂う美しい暮らしを提案し続けている。
『テーブルコーディネートから始まる 美しい暮らしのインテリア365日』 2019年10月2日発売!
『家庭画報』をはじめとする女性誌で活躍する、インテリアスタイリスト・横瀬多美保さん。ご自身の1LDKでの暮らしを1年間にわたり追った『家庭画報.com』の人気連載が、ついに一冊の本になりました。コーディネートの組み立て方、“自分らしい”空間の作り方も初公開! 今すぐ活用できる暮らしのtipsが満載です。