愛車と暮らす洗練の家 第2回(全3回) ガレージとは本来車を収める空間ですが、車好きのかたがたにとっては慈しむ宝物を愛でる場所であり、至福の時間を紡ぐ場所。この度は、住空間に美しく組み込まれた贅沢なガレージにスポットを当てました。目を見張る独創的な創意工夫の数々、愛車とともに暮らす究極の住まいを実現した3軒の家をご紹介します。
前回の記事はこちら>> ガレージは大人の夢の隠れ家―東京都 J邸
「愛車を眺めながらビールを飲む時間が最高」だと話すJさん。ホビールームと段差なしにつながるのは、こだわりの愛車が並ぶビルトインガレージ。趣味を楽しむセカンドハウスをつくる際、重視したのは機能性よりも格好よさだという。
設計/フジハラアーキテクツ(藤原誠司)ウォールガーデンがつなぐ夫婦の趣味空間
タワーマンションで暮らすJさんご夫妻がこの家を建てたのは、約3年前。「私は車を眺めながらの工作、妻は長年続けている声楽の練習。マンションでは存分に楽しめない趣味の空間が欲しいと思いました」とJさん。
天井にも床と同じ無垢材を使用。木によって音がやわらかくなる効果も。吹き抜けの2階は奥さまがコンサートを開く際の桟敷席にもなる。「車は助手席派」という奥さまだが、「乗っていて気持ちがいいのはジャガー」とのこと。「加速するときに、ぐんと沈み込む感覚が好きです」。敷地の高低差を利用して設けた地階のガレージには、「ジャガー」や「アバルト」、古いオープンカーなど、Jさんの審美眼に適った愛車が4台。ホビールームのガラス戸を開け放てばガレージとつながり、車の手入れなども気軽に行えます。
「地下室には憧れがありました。入り口のシャッターを閉めれば、籠り感が増して居心地がいいんですよ」。
有孔ボードに吊るした工具、自ら組み立てた自動車模型など、愛車とともに過ごせる ホビールームにはJさんのこだわりが凝縮されている。一転、上階にあるリビングダイニングキッチンは大きな窓を有する開放的な空間。ここでは奥さまが数十名のゲストを招き、ピアノの伴奏でコンサートを開くこともあるそうです。
リビングには世界3大ピアノに数えられるベヒシュタインのヴィンテージピアノが。窓越しに見える緑が、都心にいることを忘れさせる。籠れる地階と開けた上階。趣の異なる2つの趣味空間を、敷地の周囲に巡らせたウォールガーデン(壁面植栽)がつなぎ、豊かな調和を生み出しています。
「1週間単位で乗る車を替えています」とJさん。ガレージの脇にある表情豊かなウォールガーデンには10種類ほどの植物が植わり、自動給水システムが常に美しい状態をキープしてくれる。