愛車と暮らす洗練の家 第3回(最終回) ガレージとは本来車を収める空間ですが、車好きのかたがたにとっては慈しむ宝物を愛でる場所であり、至福の時間を紡ぐ場所。この度は、住空間に美しく組み込まれた贅沢なガレージにスポットを当てました。目を見張る独創的な創意工夫の数々、愛車とともに暮らす究極の住まいを実現した3軒の家をご紹介します。
前回の記事はこちら>> 愛車は家族。ともに暮らす家―大阪府 M邸
安心して3人のお嬢さまを遊ばせることができる中庭を囲む、コの字形の家。その一角に、家中から愛車を眺められる“ショーガレージ”が。「アルファロメオ ジュリエッタ スパイダー」は現役で、現在は奥さまに代わり、上の2人のお嬢さまが交代で助手席を占めているそう。 設計/近藤晃弘建築都市設計事務所どの部屋からも美しいフォルムが堪能できる間取り
この家を建てるにあたり、複数の建築家によるコンペを行ったMさん。条件は、中庭があることと、愛車をいつでも眺められることでした。
候補のなかで出色だったのが、建築家・近藤晃弘さんの提案。日常的に使用するガレージと、愛車「アルファロメオ ジュリエッタ スパイダー」が置ける“ショーガレージ”を分けたことが大きな特徴です。
「ほかにはないアイディアで、便利ですし、車の眺めも最高です」とMさん。中庭に張り出したコーナーウィンドウにより、車の前面だけでなく、さまざまな角度から眺めることができます。
ダイニングキッチンから中庭を眺めるMさんご夫妻。中庭に吊るしたハンモックは奥さまのリクエストで、子どもたちの格好の遊び場に。ショーガレージの上階は和室で、玄関ホールにある階段から直接上がれるため、家族の生活とは隔てた応接間として使うことができる。「キッチンに立つと自然に目に入るので、ああ、きれいだな、と思うことがよくあります」と奥さま。
結婚前に購入した、少々非効率的なこの愛車を、結婚後も乗り続けたいと考えたMさん。「この車に対していいイメージを持ってもらいたいと思い、プロポーズした日に彼女を初めて乗せて、家まで送りました」と照れ笑い。どうやら作戦は功を奏したようです。
リビングルームの床は、階段3段分フロアを下げた。天井高を確保すると同時に、「車は、少し低い目線から見るとかっこいいんですよ」とMさん。窓の外の水盤は20〜50センチの水深を設けて給湯器も完備。プール兼露天風呂のように楽しんでいる。Mさんお気に入りの“低い目線からの愛車の眺め”。