料理のプロ23人が選んだ華麗なるキッチンツール 第9回(全12回) 道具が変われば食が変わる──家で食事をする機会が圧倒的に増えた今、いかにおいしく、いかに楽しく調理するかが、これまで以上に大切になってきています。日本の食卓シーンを牽引する食まわりのプロのかたに、その見識と体験を生かして、今おすすめのキッチンツールを選んでいただきました。
前回の記事はこちら>> 料理研究家 中村奈津子さんもご愛用
話題のキッチン家電でお手軽極上美味を!
中村奈津子さん(料理研究家)
家庭料理から世界の最新メニューまで、豊富な料理の知識を持つ。母から受け継いだ「田中伶子クッキングサロン」に続き、この夏から渋谷・松濤でプライベートサロンもスタート。料理だけでなく、食にまつわる多彩な講座の開催が予定されている。http://www.tanakacook.com/素材丸ごとを生かすパワフルブレンダー
バイタミックス
バイタミックスA3500i(高さ43.2センチ)13万8000円/アントレックス(www.vita-mix.jp)「オマールえびの殻もアボカドの種も粉砕してくれるパワフルさに驚きました。さすがアメリカ生まれです(笑)。自宅でえびの殻を使った本格的なビスクを作れる日が来ようとは思いませんでした。熱いものを入れたり、汁気がなくても回せるのは、フードプロセッサーやハンドミキサーにはない持ち味、上手に活用したいですね」。
パワーがあるだけに振動音もやや大きめですが、それだけの甲斐はある有能ぶり。刻む、こねる、混ぜるもお手のものです。
「まだ暑さの残るこの季節には、冷たいヴィシソワーズも喜ばれそう。こし器を使わず、回すだけで完全になめらかなピュレになるのは、さすがです。スープのほかにもいろいろ応用ができそう。新しいレシピのイメージを次々とふくらませてくれる頼もしいブレンダーです」。
バイタミックスおすすめレシピ1
えびの殻もそのままスープに
【魚介のビスク】
〈材料(作りやすい分量)と作り方〉
(1)殻つきのえび(大)4尾(芝えびならば20尾)は、背わたを取ってきれいに水洗いをする。
(2)フライパンに植物油少々を熱し、(1)のえびを入れて、殻が香ばしくなるまで焼く。途中に、薄切りにした玉ねぎとにんにく各1/2個も加え、炒める。
(3)えびに火が通ったら、白ワイン100mlを入れ、ひと煮立ちさせる。
(4)さらに、トマトペースト大さじ3と水200mlを入れ、ひと煮立ちしたら生クリーム100mlを加えて、塩・こしょう各少々で味をととのえる。
(5)(4)をバイタミックスに入れて、ピュレ状になるまでかける。
(6)濃度が濃いようであれば、水または牛乳を加えて好みに調整する。器に盛り、レッドペッパー・ローズマリー各適宜を飾る。
えびの殻もあっという間になめらかに。ビスクを作る場合、えびの目は外したほうが口当たりがよく、雑味もなくなる。米や大豆、ナッツ、食材の皮や種なども丸ごと調理できるため、別名「ホールフードマシーン」とも呼ばれるほど。バイタミックスおすすめレシピ2
ビロードのような口当たりが簡単に
【ビーツの冷たいヴィシソワーズ】
〈材料(作りやすい分量)と作り方〉
(1)フレッシュのビーツ1株(約300グラム)、じゃがいも100グラム、玉ねぎ1/2個はいずれも皮をむき、薄切りにする。
(2)鍋に植物油少々を熱し、(1)の玉ねぎを入れてしんなりするまで炒めたら、ビーツとじゃがいもを加え、さらに水をかぶるくらいまで注ぎ、蓋をしてビーツに火が通るまで加熱する。
(3)(2)をバイタミックスに入れて、ピュレ状になるまでかける。好みの濃度まで水を加えて、塩・こしょうで味をととのえ、冷蔵庫で冷やす。
〔特集〕料理のプロ23人が選んだ華麗なるキッチンツール(全12回)
表示価格はすべて税抜きです。 撮影/阿部 浩 取材・文/露木朋子
今回、商品選定にご協力いただいた方々(五十音順)
入江亮子さん(料理研究家) 大田ゆう子さん(料理研究家) 門倉多仁亜さん(料理研究家) 間﨑友子さん(食空間プロデューサー) 河合真理さん(料理研究家) 川上文代さん(料理研究家) 久保香菜子さん(料理研究家) 小林深雪さん(フローリスト) 小堀紀代美さん(料理研究家) 佐藤よし子さん(英国食卓史研究家) 高良康之さん(「レストラン ラフィナージュ」オーナーシェフ) 中村奈津子さん(料理研究家) 馬場香織さん(料理研究家) 平山由香さん(料理研究家) 福田典子さん(テーブルコーディネーター) 藤田京子さん(フラワーデコレーター) 本間節子さん(料理・菓子研究家) 本間美紀さん(キッチンジャーナリスト) 本間るみ子さん(チーズプロフェッショナル協会会長) 馬 衣真さん(中国料理研究家) 山本侑貴子さん(食空間プロデューサー) 横瀬多美保さん(インテリアスタイリスト) 渡辺千尋さん(フランス菓子研究家)
『家庭画報』2020年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。