心静かに、向き合いたい 京都の美に触れる 第7回(全17回) この時期の京都は観光客も少なく、心静かに本来の魅力を堪能できる絶好の季節です。京都を代表する料亭が満を持して開催する“料亭美術館”、精緻な“手業の美”に出会える美術館やショップ、そして“冬の美味”を味わう食事処──。今、注目の京都のさまざまな美の形が、ここにあります。
前回の記事はこちら>> “手業の美”で想いを込めたお誂え
京都には世界に誇る、職人技と美意識があります。独自の美学と、ものづくりへの熱い想いを持った店主と相談しながら、本物、一生ものを誂えてみてはいかがでしょうか。
お気に入りの柄を京焼の器に写す
陶好堂定番の器に下写真のきものの葡萄唐草模様を描いた。左から、湯呑(径6.5×高さ8センチ、1万2000円)、飯碗(径11×高さ5センチ、1万6000円)、州浜形向付(径13.5×高さ6.5センチ、3万2000円)。価格は応相談。陶好堂
軽くて繊細なつくり、雅やかな絵柄が魅力の京焼・清水焼。大正7年創業の老舗陶器店「陶好堂」は主に京都の料亭からの依頼を受けていますが、自宅用や大切な人への贈り物として、個人の注文も1点から可能だそうです。絵付けする柄は、大切にしているきものやスカーフなど、お気に入りのものを持ち込んで依頼することもできます。
左・写真1枚目の3点の絵柄のもととなった、井原さんのお母さまのきもの。オーダーしたい器の絵柄の参考となるもの、または写真、絵画、展覧会の図録などを持参し、相談しながら図案に起こす。注文から完成まで約1か月~1か月半。 右・絵付け前の陶好堂定番の器。大きさや形はさまざまだが、どれも薄くて軽く、使いやすい。「ご依頼内容が明確に決まっていなくても、店内でご自分のイメージに合った形や柄の器を見つけたら、それをもとに色合いやデザインをアレンジすることもできますよ」と井原道夫さん。
江戸時代初期の民画「大津絵」を描いた六角皿(長径18センチ、各2万4000円)は東京の料亭からの注文で制作。器の形から柄までを自分好みに作り上げられるのも、多くの窯元や絵付師との強いつながりを持つ陶好堂ならではのこと。「毎日使うものだからこそ、特別な器の存在は心に潤いをもたらします」と話します。
憧れの絵柄を写した、世界に一つだけの逸品と出合えることでしょう。
陶好堂 井原道夫さん陶好堂京都市東山区五条橋東4-420
TEL:075(541)5101
営業:9時~18時 日曜・祝日定休
〔特集〕心静かに、向き合いたい 京都の美に触れる(全17回)
表示価格はすべて税別です。
撮影/本誌・坂本正行 取材協力/永松仁美
『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。