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バスルームや化粧品の収納に。シンプルで小粋な「籠」を暮らしに取り入れる

2021.05.20

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生活を豊かにする「器と道具」伝統工芸とモダンに暮らす 第3回(全6回) 家にいる時間が長い昨今、日々手にし、使うものこそ本当に気に入ったものを揃えたい、そして長く、愛着を持って、不具合が出たら修理しながら使いたいという人が増えています。本特集では生活を豊かにする日本の伝統工芸、手仕事の品を「盆と膳」「籠」「コーヒーとお茶の道具」の3つのテーマでご紹介。前回の記事はこちら>>

日々を豊かにする日本の工芸「籠」


──日本の風土と作り手の手技から生まれる美しさ

南北に長い日本では、地方ごとに異なる植物が自生し、その特性を生かした籠が生み出されてきました。さまざまな種類の竹、つる性の植物、木の皮などを生かした籠を暮らしの中にお洒落に取り入れるアイディアとともにご紹介します。

「籠」日本の風土と作り手の手技から生まれる美しさ


南から北まで日本の各地にそれぞれの土地の植物で編まれた籠やざるがあり、風土で鍛えられた形が存在する。太い竹が少ない東北地方で盛んに用いられたのは、山野に自生するあけびやくるみ、山ぶどうの樹皮。

丁寧なひご作りから生まれる、シンプルで小粋な籠


かつて日本には、全国いたる所に竹細工の産地がありました。真竹や孟宗竹を使う青竹の籠、長野県戸隠や青森県の丈夫な根曲がり竹を使った籠、東北地方では細い笹の仲間の篠竹やすず竹を使います。大分県では、青竹を油抜きし、青みを取り除いて晒した象牙色の白竹で、造形性の高い都会的な印象の籠が作られています。

別府で竹細工を学び、現在は安曇野で制作する吉田佳道さんが使うのは白竹です。繊細な花籠の名手ですが、使い手が自由にアレンジしてさまざまな場で使える籠作りを目指しています。

昔の銭湯の脱衣籠が本歌の「ささなみかご」もそんなコンセプトで誕生。本来の銭湯籠は籐製でしたが、白竹を割き細いひごを作って編んでいます。試行錯誤の結果、波のようなカーブを描く優美な形が誕生。しかもサイズ違いで4種。使わないときには、入れ子にしておけます。軽やかな籠で、タオルや衣類を入れるサニタリーにはぴったりです。

サニタリーで活躍する入れ子になるささなみかご


丈夫でしなやかな手触りは天然素材ならでは。軽いので扱いも楽、並べても重ねてもインテリアに自然になじんでくれる。いちばん小さいサイズはパン籠だが、サニタリーで使う道具や化粧品の収納にも便利。

「ささなみかご」 吉田佳道 作

「籠」日本の風土と作り手の手技から生まれる美しさ

「ささなみかご」 吉田佳道 作 大(径49×高さ26センチ) 3万5200円、中(径40.5×高さ20センチ)1万7600円、小(径32.5×高さ14.5センチ)8800円、パン籠(径22.5×高さ11センチ)7700円/竹の工芸よしだ

繊細なすず竹細工のかご


岩手県の東北部、二戸の鳥越は寒冷地のため太い竹は少なく、すず竹細工が発達しました。女性の小指ほどの稈かんを割いて作るひごは薄くて繊細。とりわけ柴田 恵さんの仕事は惚れ惚れするほど美しく、おすすめしたい籠です。

ところが2020年から鳥越では、すず竹に花が咲いて山の竹林が枯死している状態が続いています。120年に一度といわれる事態で、種子から発芽して再生するまで20年は必要。材料探しに奔走する柴田さんが、再び籠を編める日が早く訪れるよう祈るばかりです。

「合わせ籠」 柴田 恵 作

「籠」日本の風土と作り手の手技から生まれる美しさ
「合わせ籠」右から名刺入れ、弁当箱、小文庫 柴田 恵 作/参考商品

鳥越は、古くからすず竹細工で知られた地で、その歴史は1200年。網代に編んだ文庫も、この地に伝わる細工の一つ。これは2枚の籠を編み両表に合わせたもの。内側も外側もすべすべした手触り。しかも入れ子(下の写真)になっている。通常より柔らかい竹を用いていっそう薄いひごを作るが、難しい技なので編み手は限られる。

「籠」日本の風土と作り手の手技から生まれる美しさ

衣類を入れる脱衣籠


寝室で、あるいは入浴の際に脱いだ衣類を入れる脱衣籠は、ぜひ欲しいものの一つ。衣類が引っ掛からないよう、素材を吟味して丁寧に作られた籠を選びたいもの。柴田恵さんは「ひご作りは竹仕事の7割を占めるほど大事」といいます。

「手付きラック」柴田 恵 作

「籠」日本の風土と作り手の手技から生まれる美しさ

「手付きラック」柴田 恵 作/参考商品
撮影/本誌・坂本正行 フードスタイリング/梶井明美 選・取材・文/片柳草生 1ページ冒頭の写真:右上から時計回りに、秋田県横手・あけび花籠(小・大)、岩手県二戸・すず竹籠 柴田 恵 作/参考商品、岩手県二戸・真竹平籠、青森県津軽・くるみゆい籠、福島県奥会津・またたび水切り籠、青森県津軽・あけび乱れ編み籠、岩手県二戸・蓋付きのすず竹おぼけ(糸籠)、宮城県大和町・手付きの篠樺肥料ふりかご/銀座 たくみ、宮城県岩出山・蓋と足の付いた篠竹飯籠、青森県津軽・あけび角籠、葉を入れたのは青森県下北・ヒバ片付け籠、岩手県・真竹楕円ラック/銀座 たくみ、秋田県角館・イタヤカエデ泥染ザル籠 ※表記のない籠はすべて暮らしのクラフト ゆずりは
『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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