生活を豊かにする「器と道具」伝統工芸とモダンに暮らす 第4回(全6回) 家にいる時間が長い昨今、日々手にし、使うものこそ本当に気に入ったものを揃えたい、そして長く、愛着を持って、不具合が出たら修理しながら使いたいという人が増えています。本特集では生活を豊かにする日本の伝統工芸、手仕事の品を「盆と膳」「籠」「コーヒーとお茶の道具」の3つのテーマでご紹介。
前回の記事はこちら>> 自由な発想で籠を使いこなしましょう
ジャムや和食用調味料入れには手付き籠が重宝。岩手県鳥越で作られてきた籠は、買った豆腐を持ち運んだ籠で、六角形で高台付きが珍しい。細いすず竹ならではの美しい形。「豆腐かご」(径23×高さ26センチ) 5500円/銀座 たくみ茶碗籠、水きり用たらし籠、飯籠、温泉の湯籠、りんご籠、農作業の背負い籠、魚籠(びく)……。かつて暮らしを支えた民具は、プラスティックの台頭で多くが姿を消しましたが、中には技法や形を受け継いだ作り手もいます。
その土地土地で生まれ受け継がれてきた手仕事には、地域の知恵や美意識が息づいています。長い年月で淘汰されずに残った形はモダンですし、その土地ならではの物語や原点が宿っていて、使ううえでも嬉しいものです。
籠使いの最も楽しい点は、ぴったり合う用途を考えることかもしれません。
籠の使い方は、アイディア次第。例えばテレビやエアコンのリモコン類を気に入った籠に入れておけば、それだけですっきり。
大きな籠に雑誌や新聞を入れておけばインテリアにもなります。
小文庫(
前回の記事)は糸と針山、握り鋏入れに。テレビを見ながらのボタンつけなどにも、手軽で大活躍のはず。
意外に重宝なのが手付き籠です。折り畳み傘入れ、調味料、ジャム、薬、時には鉄アレイも。手付きなので使用する場所へ運んで、使い終わればもとの場所へ。収納上手になれます。
近年、産地では作り手が高齢化し、また籠作りを志す人も減少しています。日本の豊かな文化の一つでもある籠の魅力を見直して、愛着を持ってよき使い手になりたいものです。
「籠」を使いこなすアイディアを、下のフォトギャラリーで詳しく見ていきましょう。 〔特集〕生活を豊かにする「器と道具」 伝統工芸とモダンに暮らす
撮影/本誌・坂本正行 フードスタイリング/梶井明美 選・取材・文/片柳草生
『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。