今のライフスタイルに合わせて選ぶ 新「洋食器」の楽しみ方 第15回(全18回) 愛着ある洋食器も、いつもと違うコーディネートや、新しいアイテムをプラスすることで、日常のテーブルが夢のようなシーンに変身します。洋食器をこよなく愛する、器づかいの達人の素敵な暮らしから今、取り入れたい「洋食器」の楽しみ方をお届けします。
前回の記事はこちら>> ジャン・コクトーのプレートで南仏の風吹くアペロの時間
渡辺千尋さん(洋菓子研究家)コクトーの曲線に対して、アペリティフの形はあえて直線的に。正方形のタルトには、サーモンのタルタルとキャビアを。三角形のタルトは、グリーンアスパラガスや空豆、各種ハーブなど新鮮な緑の野菜が主役。「レイノー」の〈ジャン・コクトー〉
詩人で画家、そして劇作家、映画監督、評論家……。20世紀が誇るマルチ・アーティスト、ジャン・コクトーの1950年代の作品をベースにした食器のシリーズは、「レイノー」のコレクションの中でもひときわ個性を放っています。
「晩年のコクトーは南仏を愛し、滞在することも多かったそう。そんなエピソードから、南仏らしいハーブたっぷりのタルトなどをそっとのせてみました」と渡辺さん。時空を超えてコクトーとコラボレーション気分が味わえるのも、アーティスト由来の器ならではの贅沢といえるでしょう。
「今までは上質でシンプルな器こそが料理やお菓子を生かす、と考えていましたが、こういった器の力を借りる盛りつけも楽しいですね。ソースやあしらいがなくても美しく決まるのも嬉しいです!」
絶妙なパステルカラーに息づくコクトーの繊細なライン
〈ジャン・コクトー〉オーバル ローズ、ブルー(各長径36センチ)各4万7300円/エルキューイ・レイノー青山店コクトーが描いたギリシャ神話のオルフェウスやプロメテウスの横顔を、コクトー好みであるパステルカラーの器に大胆に写し取ったシリーズは、2019年の発表当初から大きな話題に。カップ&ソーサーやトレイなどのアイテムも。
撮影/鈴木一彦 取材・文/露木朋子
『家庭画報』2021年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。