「美しい家具」と暮らす 第13回(全21回) おうち時間の質が求められる時代にあって、インテリアの世界では本物志向のハイエンド家具の動きが好調です。空間と時間の価値を高めてくれる、「美しい家具」のある暮らしを訪ねました。
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私が愛するラグジュアリー家具
佐藤可士和(さとう・かしわ)さんクリエイティブディレクター。1965年東京生まれ。博報堂を経て、2000年「SAMURAI」を設立。ユニクロ、楽天、セブン-イレブンなど、名だたる企業のブランド戦略を手がけ、成功へと導いてきた。上の椅子は「PK9」。「アルミチェア」。限定復刻生産された幻の1脚。佐藤可士和さんは北欧家具の愛好家として知られ、なかでも愛用しているのがポール・ケアホルムのPKシリーズ。事務所の移転時に思い切って買い揃え、その後も事務所や自宅を引っ越すたびに徐々に買い足していくうちに、「気がついたら、けっこうPKに囲まれています」と笑います。
ただし、高い美意識をお持ちの佐藤さんでも、昔は家具選びで失敗を重ねたという話には勇気づけられます。
「若い頃はインパクトのあるデザインの家具を買ったけど飽きちゃったり、引っ越したら空間に全然合わなかったり、最初はよかったけど使ううちに劣化したり……。今は意識が合う建築家と一緒に空間をつくりながら家具の配置も考えますし、年を重ねて経験値や知識が増え、失敗しなくなりました」
ケアホルムの家具は一見シャープですが、座り心地はとてもよく、「ソファのクッションの厚さや反発具合、革の感じもいいし、ダイニングチェアも座面が大きくてゆったりする。ラグジュアリーなんです」と佐藤さん。高さを低く抑えた、線が細いデザインは日本の家に合っているとも語ります。