藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
記事一覧はこちら>> 2月の花 「パンジー」
黄色とピンクのふりふりの花は切り花用に栽培されたフリルパンジー。ちょうど出荷の最盛期を迎えます。スイートピーやアネモネなど春の花と合わせると、うららかな春の庭のような優しいブーケに。フルール トレモロの藤野幸信です。この度、新連載が始まることになりました。月に2回、ちょうど出回り時期を迎えるおすすめの花を選んでみなさんにご紹介します(連載は第1・第3金曜日に更新予定)。
たくさんの素敵な花と、新作のブーケやアレンジメントを楽しんでいただきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!記念すべき第1回のテーマに私が選んだのは「パンジー」です。
切り花のフリルパンジーで春の庭の景色を一足早くお届け
寒さの厳しい2月、庭に植えたパンジーはまだ株も小さく、まるで寒さに身を縮めて耐えているようです。そんな庭花より少し早く、切り花のパンジーは今がまさに出荷の最盛期。これから3月にかけてパンジーの贈り花が存分に楽しめます。
切り花に利用されるのは、花びらがふりふりしたいわゆるフリルパンジーという種類。一般的なパンジーより立体的な花姿が魅力で、ボリューム感もあります。それを切り花用に草丈が長くなるように栽培するのですが、生産者さんはごく少なく、群馬県富岡市の「みやび花園」さんが毎年安定してクオリティーの高いフリルパンジーを供給してくれます。
12月中旬には出荷が始まり、出始めのものは草丈が25〜30cmと短めで、フローラルフォーム(オアシスなど)を利用したアレンジ向きです。それがこの時期になると草丈は30〜40cmになります。この長さがあれば、いろいろな花と束ねてブーケにすることも可能。10cmほどの差ですが、贈り花のデザインの可能性がぐっと広まります。
手前は濃い青から白のグラデーションが美しい「オルキ ブルーシェード」。奥はピンクと黄色の濃淡が愛らしい「カルメン」。どちらも「みやび花園」さんから届きました。ラナンキュラスやアネモネ、スイートピーなど春の花が豊富に揃うこの時期は、パンジーとの花合わせはとても楽しい作業です。バラやリシアンサスなど大きめの花ではなく、小さめの花を選ぶとパンジーのかわいらしさがより引き立ちます。
また、2月14日はバレンタインデー。最近では、女性から好きな男性へ贈り物をするだけでなく、同性のお友だちや仕事仲間、家族へ感謝の気持ちを託して花を贈るフラワーバレンタインというイベントも浸透しつつあります。愛らしいパンジーをぜひフラワーバレンタインの贈り花に利用してみてください。
下のフォトギャラリーから詳しくご覧いただけます。 藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
https://www.fleurs-tremolo.com 『人気フローリストが教える フラワーアレンジのデザイン&ヒント78 大切な人への贈り花』
誕生日、結婚記念日、ウエディングなど、78例のブーケ&アレンジメントを色別に掲載したオールカラーの大判の単行本。色別花図鑑コラムや全国の生産者データなどお役立ち情報やインデックスも充実。大切な人へ花を贈る際のヒントが満載です。