今という時代を見据え、(1)現代の暮らしに適うモダンな「デザイン仏壇」、(2)個人の心の拠り所としての「厨子」、(3)住まいに合わせた「仏壇のリメイク」という3つのアプローチからアルテマイスターが提案する祈りのかたちを、全4回の連載でご紹介します。(
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第2回の今回ご紹介するのは、リビングに限らず、寝室などのプライベートな空間にもなじむ、コンパクトさとデザイン性を併せ持つアルテマイスターの「厨子」。
厨子といえば、法隆寺の玉虫厨子が頭に浮かびますが、厨子とは「大切なものを納める箱」のこと。飛鳥時代には、大切なものとして、仏像や経典等が厨子に納められるようになったといわれています。
「一家に一台の仏壇を家単位のものとするなら、厨子は個人単位のもの。家族が亡くなったときに用意するというだけでなく、祈りを通して自分の心と向き合い、不安な日常を心穏やかに生きるための拠り所にしてほしい」と、アルテマイスター保志社長は語ります。一人ひとりの祈りを大切にするために、そして、日々の暮らしの中にある、願いや感謝の心を納める箱として。自身と向き合うことで生まれる、心穏やかな暮らしを提案しています。
平安時代建立の拝殿を模した「長床(ながとこ) 欅」
「長床 欅」(外寸/高さ26.8×幅43×奥行き20.5cm)39万円 観音坐像(古手青銅)、砂張リンセット(いぶし銀 大)、(福森雅武 白の)花立て、水入れ、供物台/すべてギャラリ-厨子屋 byアルテマイスター「長床」は、福島県喜多方市にある熊野神社の拝殿。大切なものを納める祈りの箱として、神聖な「長床」の意匠に沿って作られたもの。
行脚僧が背負った“笈”に着想を得た「笈型(おいがた) 松」
「笈型 松」(外寸/高さ32.4×幅22.5×奥行き18.2㎝ 内箔仕上げ 仏台付き)43万円 磁今 回 刷毛墨の花立て/すべてギャラリ-厨子屋 byアルテマイスター笈とは、行脚僧や山伏が、修行のために仏像や経文などを納めて背負っていたもので、四隅に脚があり、儀礼の際にはご本尊を祀る厨子としても使われた。琳派の図案にならった扉の蒔絵は、会津塗の伝統を活かしている。
グッドデザイン賞を受賞した名作厨子「安壽(あんじゅ)」
「安壽」(外寸/高さ41×幅25×奥行き22㎝ 洗朱 内金箔)60万円 若杉聖子 一輪挿し/ともにギャラリ-厨子屋 byアルテマイスターここで紹介する仏壇と厨子は、いずれも、200人を超える職人が在籍するアルテマイスター社の会津の工場で、伝統技法を駆使し、一つひとつ想いを込めて丁寧に仕上げたもの。「安壽」は、2001年にグッドデザイン賞を受賞した同社の代表的名作。
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※在庫切れの場合は、納品まで数か月程度かかることがありますので、お問い合わせの上ご確認ください。 表示価格はすべて税抜きです。 撮影/本誌・西山航 スタイリング/横瀬多美保
『家庭画報』2020年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。