マインドをリセットできる全面開口の絶景風呂
S邸(静岡・熱海)設計/坂倉建築研究所(倉竹之助 藏田好博 北山 修)
Sさんの浴室設計への要望は大きく3点。(1)ヒノキ風呂であること、(2)海に向かって全面開放できること、(3)湯船に浸かったときの目線の高さで海を楽しめること。ヒノキ材の浴槽は特注、洗い場にもヒノキ材のすのこを用い、肌触りと香りが楽しめ、温泉のようにリラックスできるバスルームを実現させた。伊豆半島の崖上に建つこの別荘の浴室からは、眼下に相模湾の大海原が望めます。Sさんは知人の山荘の浴室が、フルオープンできる窓を採用し自然をうまく取り込んでいることに感心し、その発想をこの海の家に織り込めないかと、坂倉建築研究所に相談しました。
ガラスの折れ戸を開け放つと、額縁のような開口部から相模湾の大海原が見渡せる。浴槽の深さは55。床に埋め込まれ、湯船に浸かったときの目線の高さが水平線と重なり、海との一体感が感じられる。「湯船に浸かってみると、気持ちよさは想像以上。宙に浮かびながらシームレスに海とつながっている感じ」とその出来栄えにご満悦。お湯は24時間循環させており、思い立ったらいつでも入ることができます。早朝は朝日を眺めながら、そして夜は明かりのない海原の向こうに広がる満天の星を見ながら……。湯船に浸かり、のんびり心を解放するひとときは、多忙な日常を送るSさんがマインドをリセットする、貴重な時間となっています。
洗面室にはスツールと小さな冷蔵庫があり、ドリンクを飲みながら休息できる。 〔特集〕ゆったり、あったか長風呂のすすめ「感動のバスルーム拝見」(全9回)
撮影/角田 進 スタイリング協力/山田喜美子
『家庭画報』2021年3月号掲載。
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