北海道「十勝千年の森」の新谷みどりさんに学ぶ 美しき菜園ガーデン 第6回(全10回) 家庭菜園の楽しみは、安全でおいしい野菜を食べられるだけでなく、生長する美しい景色を日々間近で観賞できること。国内外で農業と園芸を学び、独自の視点で菜園づくりに取り組むヘッドガーデナー、新谷みどりさんに毎日見ていて惚れ惚れする菜園のコツを聞きました。
前回の記事はこちら>> 元気印の実りには「秘訣」があります!
植えつけから約2か月後、
ウィグワムがほとんど見えないほど、すくすく生長したトマト。
右はトマトとコンパニオンプランツを植えつけた直後。左は約2か月後の9月上旬。もはやウィグワムはてっぺんしか見えないほどの生長ぶり。縁の下の力持ちたちのおかげで、トマトは元気に育っている。9月末には十勝の短い夏の終わりとともに収穫を終える。あちこちに、市場ではあまり見かけない珍しい色や形のトマトの実がたくさんなっています。もちろん、土づくりや植えつけ、脇芽かき、誘引など、トマト栽培の基本を守っていることもありますが、オーガニックで病害虫の被害にも遭わず、ここまで元気に育っている大きな要因の一つは「コンパニオンプランツ」にあります。
エアルーム トマトは同じ品種でも色や形が違うなど、育生にばらつきが出がちだが、そこがまた楽しい。左上はプルーデンス・パープル。コンパニオンプランツとは、異なる種類の植物を一緒に栽培することで、病害虫を防いだり、生長を促進したりと互いによい影響を与え合う組み合わせ、あるいはそうした植物自体を指します。
以前ご紹介した、
レイズドベッドに植えられていた4種の野菜の組み合わせや、害虫を防ぐ効果のあるカレンデュラ、マリーゴールドなども、すべてコンパニオンプランツといえます。
生長を支える「コンパニオンプランツ」
トマトの周りには、数種類のバジルをはじめ、さまざまなコンパニオンプランツが植えられ、トマトの健やかな生育を陰で支える役目を果たす。トマトの場合、相性が最もよい筆頭はバジル。
バジルは水分を好む一方、トマトは水分が少ないと甘みが増すため、一緒に植えると土中の水分が調整され、お互いに理想的な環境で育つことができます。
左・バジルʻスパイシーブッシュʼ 右・バジルʻアロマットʼまた、コスモスやディルは花が昆虫を呼びやすいので、訪れた虫たちがそばに植えたトマトの花粉を運んで実付きをよくしてくれます。
さらに、ニンジンはトマトにつく害虫を防ぐ効果があるといわれています。
「お皿のように広がって咲く花は、昆虫が訪れやすく過ごしやすいのです」とは新谷さんの弁。
左からコスモス、ディル、ダウカス・カロータʻダーラʼ(ニンジンの仲間)畳1畳分のベッドに植える場合の配置
畳1畳分のベッドに植える場合の配置。直径40センチのウィグワムのそばにトマトの苗を各1個植え、空き地には他の植物を植える。草丈の高いコスモスやディルがトマトに日陰をつくらないように配慮する。
「誘引」は8の字。緩みが大事
茎を支柱に誘引する際、紐を8の字に緩く結ぶと、支柱との間にすきまができ、生長後も茎に紐が食い込まない。
「芽かき」のポイントを見極める
脇芽は小さいうちに、消毒したハサミか素手でかき取る。できるだけ切り口が乾きやすい晴天の日に行う。
「植え付け」は茎を寝かせて
トマトは茎から根が出やすいので、寝かせて植えると地中の茎から根がたくさん出て、水や養分の吸収力が高まる。これによって丈夫に育ち、収穫量が増える。
トマトの植え付けの方法
下のフォトギャラリーでご覧ください。 監修=新谷みどり 撮影=大泉省吾 取材・文=大山直美 イラスト=三好貴子 協力=十勝千年の森 ※この特集で紹介した栽培例は、北海道・十勝地方で実施されたものです。地域や気候により、適する植物や植え付け時期などは異なります。
『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。