夏を楽しむ アウトドアで大人遊び 第3回(全12回) 大人世代は別荘で、あるいは自宅のガーデンで、そして旅先で、自然に親しみながら、ゆったりとエレガントに、外遊びを楽しむのが今の気分。この夏、大人の女性の心が躍るアウトドアの魅力、より楽しむためのアイディアをお届けします。
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大原千鶴さん・木島直美さん・福森道歩さん
盛夏の旬味を囲む“おいしい”グランピング
世代を超えて仲のよい木島直美さん(中)の山荘に集う、料理研究家の大原千鶴さん(左)と陶芸家の福森道歩さん(右)。テーブルや器をテラスデッキの木陰に持ち出し、作りながら飲みながら、できたての盛夏の料理を味わう。手作りの窯や炉を使ってワイルド&エレガントに。みんなが一緒に楽しめるよう段取りよく!
ローストチキンをメインに、かつおのたたきやカラフルな野菜料理が並ぶ、緑陰の食卓。グリーンをテーマにコーディネートされた和洋の器は、木島さんが結婚時に求めたシダ柄の洋食器や鎌倉時代の山茶碗、江戸期の珉平焼など。福森さんが手がける土鍋は器としても大活躍。京都の市街地から車で1時間ほどの緑豊かな洛北・京北での集いをいつも心待ちにしている料理研究家の大原千鶴さんと陶芸家の福森道歩さん。共通の友人である木島直美さんの山荘に旬の食材を持ち寄って料理を作り、夏は窯や炉を設けた庭のテラスで食卓を囲むのが恒例です。
山深い地に生まれ育った2人にとって、自然に触れながら調理するのは最もリラックスできる時。福森さんが木島さんの息子さんたちと一緒に作った窯の火を熾(おこ)してメインの焼き物を、大原さんがお酒に合うおつまみや野菜料理を手際よく準備し、木島さんがテーブルを美しく整えます。
「アウトドアで調理するときは、みんなでつまみながら、飲みながら楽しめるよう献立と段取りを考えます。まずメインの料理を決め、すぐに食べられるおつまみも用意しておくとスムーズです」と、大原さんはお酒とのペアリングでも料理を引き立てます。
「自然と火の力が生むダイナミックなおいしさがアウトドア料理の醍醐味。薪や炭の火で焼くだけで素材がおいしくなり、土鍋を使うとよりうまみが引き出され、締めのご飯まで楽しめます」と、窯と炉を巧みに扱う福森さん。
木島さんの息子さんや陶芸仲間と作った窯に薪をくべる福森さん。「窯の温度をしっかり上げてから調理すると失敗がありません」。この日は、窯の火の準備をしながらビールで乾杯し、熾った火でピッツァを焼き、前もって仕込んでおいたマリネサラダ、焼いた油揚げなどの軽いものでスタート。
いかと夏野菜のマリネサラダ窯の火が熾るまでの間は、前もって仕込んでおいたいかと夏野菜のマリネサラダをおつまみに。ローストチキンを仕込む合間に福森さんがかつおを藁であぶってたたきにし、冷えた白ワインと味わいます。途中、大原さんは炭火でなすを焼いたり、アルミホイルに包んだ野菜を窯に入れ、鶏肉が焼き上がる頃には、さまざまな料理が勢揃い。3人揃ってテーブルにつき、シャンパンも開けて、改めて乾杯です。
さらに料理を美しく、食卓を華やかに引き立てているのが、木島さんが愛用している多彩な器たち。
「2人に気兼ねなく楽しんでもらいたいので、器もグラスも普段使っている骨董や洋食器。涼やかなグリーンをテーマにコーディネートしてみました」と木島さん。
京都を拠点に活躍する建築家、木島 徹さんとビールバーを営む良さんの母親でもある木島さん。テーブルの真ん中に土鍋を並べ、ワインクーラーに見立てた昭和初期の白磁の大鉢や、庭から摘んできた植物や鳥の置物が彩りのアクセントに添えられます。
次の季節には庭の景色はどんなふうになっていて、どんな美味に出合えるかしらと、盛夏の午後をゆっくりゆったり過ごす3人。夕暮れになっても宴は続き、ローストチキンのスープで土鍋ご飯を炊いたり、デザートを仕込んだり……。自然を愛で、旬を味わう“おいしい”グランピングは夜更けまで続きます。
下のフォトギャラリーで詳しくみる 撮影/阿部 浩 取材・文/西村晶子
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。