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愛娘との突然の別れを経験した本郷由美子さん。他者に寄り添い、支え、支えられて生きる

2021.08.30

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居場所を求めているあなたへ 第2回(全4回) 壮絶なご経験に心身の疲弊の極限まで追い詰められながらもすべてを受け止めて自分と向き合い、現在は他者を支える活動をされている西川ヘレンさん、本郷由美子さん、大空幸星さん。このコロナ禍、誰もが何らかの喪失感を抱え、うつ気分に沈みがちですが、お三方の生き様は私たちの心の一筋の光となり、きっと力をくれるはずです。精神科医・斎藤 環先生が提唱する「対話」の大切さ、相談窓口の存在も苦しいとき、あなたを支えてくれることでしょう。前回の記事はこちら>>

最愛の娘との突然の別れ
他者に寄り添い、支え、支えられて生きる──本郷由美子さん(精神対話士、グリーフケアライブラリー「ひこばえ」代表)


本郷由美子さん

本郷由美子(ほんごう・ゆみこ)
いのちの授業やグリーフケアを広める講演を全国で行い、スピリチュアルケア、グリーフケアの活動を長年続ける。非言語コミュニケーションとして手話も活用。愛かなしみの結晶であるグリーフケアライブラリー“ひこばえ”を開設。場を開き、心を開きすべての大切な命に寄り添う。

木の切り株や根もとから顔を出す若芽“ひこばえ”の力を信じて


優しい色調の壁紙に囲まれ、柔らかな光が差し込む部屋。本棚に並ぶ本や絵本を手に取りながら、思い思いに過ごすことができるこの場所を、いろいろなかたが訪れます。

2020年11月に開かれたグリーフケアライブラリー「ひこばえ」。東京都台東区にある光照院と背中合わせの別棟となる「こども極楽堂」の一角に作られました。

壁紙

「壁紙の優しい絵を眺めていると自然と心の中で対話ができます」と本郷さん。

精神対話士であり、専門スピリチュアルケア師の認定を受けた代表の本郷由美子さんは、最愛のお嬢さんを突然亡くすという筆舌に尽くし難い体験をされています。

2001年6月に大阪教育大学附属池田小学校で起きた、無差別の殺傷事件。小学生8人が亡くなり、15人が重軽傷を負ったこの事件で、当時2年生だった長女の優希さんを失いました。

“ひこばえ”を開いた理由を、「私自身がそうでしたが、グリーフ(深い悲しみ)に浸っているときは言葉にできないこともあるんですね。一人で自分自身と向き合える場が欲しいんです。グリーフケアの活動を続けていく中で17年ほど前から、いつかどこかに作りたいと思っていました」といいます。

模写

こども極楽堂の1階では写経・写仏ができる。ひこばえの春夏秋冬が描かれたポストカード。

サンドバッグ

サンドバッグで発散もできる。

山谷という地域、光照院のご住職・吉水岳彦さんとの導かれるような出会いは、本郷さんのご実家への電車移動に便利な台東区に越してきた約5年前。

さまざまな支援活動を実践されている吉水さんをグリーフケア活動の挨拶で訪ねた際、地元を案内してもらったところ、不思議なことに「一歩踏みしめると多くの悲しみの声が聞こえるけれども、立ち入りすぎず、皆でそっと寄り添い支え合っている彩りを感じ、ああ、この場自体がグリーフケアの場所なんだと思えたのです」。

最後に回ったのが寄付を受け、ちょうど改装中だった、今の極楽堂と“ひこばえ”がある建物でした。

「人種も職業も宗教も何も関係なく、いろいろな人たち、特に子どもたちが好きなように平等に過ごせる場所を作りたい」とご住職が語るのを聞いて、作るならここだと確信。一緒に活動をするようになりました。
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