鏡リュウジ 心の扉を開く タロットと占星術 第10回(全20回) 占いは未来を当てるだけではありません。自らの心の深層を探る──それも役割の一つ。あなたの心の扉を開くために、古の世界観の旅へと鏡リュウジさんが誘います。
前回の記事はこちら>> 蟹座(6/22~7/22)
豪華な祝賀パレードに秘められた真実の姿
7 戦車勝利の凱旋車を表す。目的に向かい邁進する。困難を乗り越え、成功を手にする。計画の実行。【キーワード】勝利/成功/目的/移動固い守りの殻を破り社会で実力を発揮する
あなたを守る運命のタロットは「戦車」です。もともと、とても繊細で防衛本能が強いといわれる蟹座が勇ましい「戦車」のカードに守られているというのは、違和感があるかもしれません。しかし、カードに描かれている戦車をよく見ると、それは勝利を祝うパレード用の凱旋車。華やかな凱旋車とは、蟹座がそのナイーブで柔らかい心を守るためにまとっている「殻」と同じものなのです。自分や大切な人を傷つけられまいとするあまりに、必要以上に明るく、派手に見せてしまう様子を、鏡のように映し出しているのだといえるでしょう。
「戦車」のカードはあなたに、強気に振舞うことで得られる勝利の栄光と、それを脱ぎ捨てたときに現れる、優しく思いやり深い姿を見せてくれています。そのどちらも、あなたの本当の姿。ただ、身内感覚が強い蟹座は、自分や大切な人が傷つきそうになると、途端に攻撃的になり、周囲と争ってしまうところがあります。しかも、そうして争ったこと自体にも傷ついてしまうのです。つい、傷つけるものから距離をとろうと排他的になり、殻に閉じこもってしまいがちですが、あえて華やかに振舞い、心をオープンにすると味方も増えていきます。
周りは敵ばかりと感じたときほど「戦車」のカードを思い出し、明るい凱旋パレードを心に思い描くといいでしょう。勝利を祝い、共に喜んでくれる人の姿が目に浮かび、人を信じる気持ちを取り戻せるはずです。
2022年後半は、幸運の星・木星の移動によって「社会」が幸運のキーワードになります。外の世界とつながり、困難を乗り越えながら自分の社会性を高めることが幸せを呼ぶでしょう。家族や同じ会社の仕事仲間など、明らかに「身内」といえる人だけを守りがちですが、この時期はその範囲をもう少し広げ、家族の友人・知人、近所の人、取引先の担当者など、かかわりのある人々みんなに深い愛情を注いでみてください。なかには思っていたほど感謝されず、裏切られたと感じることも。しかし人との距離はそれぞれ。全力で身内を守る、蟹座の強い愛のエネルギーをどう分散させ、社会で生かしていくかを学べるでしょう。
6月22日〜7月1日生まれ「杯の2」目的に向かってひた走る「戦車」のカードと同時に、杯の2のカードの性質も持つあなた。このカードは対等なパートナーとの結びつきを教えています。人に恵まれ、困難を乗り越えられるでしょう。
7月2日〜7月11日生まれ「杯の3」太陽が蟹座の中頃を移動する時期に生まれたあなたは、杯の3のカードが示す「分かち合い」の性質も持っています。喜びを人と共有し、大切な人と思いを共にし理解し合える関係を築けるタイプです。
7月12日〜7月22日生まれ「杯の4」杯の4には「無気力」という意味が。惰性で行動してしまいやすいところがあり、モチベーションの維持が課題になるでしょう。自分を飽きさせないことが意欲を高め、運気アップにつなげるポイント。
世界で最も売れ、タロットの定番ともいえるのが、これらのウエイト=スミス版(ライダー版)。神話的なモチーフが想像力を喚起する。『ライダータロット スタンダード〈U.S〉』より掲載。カード撮影協力/ニチユー、東京タロット美術館 文/鏡リュウジ 浅島尚美〈説話社〉 撮影/本誌・西山 航、大見謝星斗 撮影協力/ニチユー 東京タロット美術館 LECURIO 構成/三宅 暁〈編輯舎〉 星座絵は『19世紀の占星術師』(鏡リュウジ蔵)より
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。