鏡リュウジ 心の扉を開く タロットと占星術 第12回(全20回) 占いは未来を当てるだけではありません。自らの心の深層を探る──それも役割の一つ。あなたの心の扉を開くために、古の世界観の旅へと鏡リュウジさんが誘います。
前回の記事はこちら>> 乙女座(8/23~9/22)
心静かに内省する隠者が導く思考の光
9 隠者日常から離れる。自分の中にあるエネルギーを知るといい時。成熟への過程を表すことも。【キーワード】内省/孤独/分別/老成小さな灯火を頼りに真実を見つけ出す
あなたを守る運命のタロットは「隠者」です。人が集まる街から離れ、ランタンを掲げて一人、沈思黙考する隠者は、静謐な孤独の中にいます。ただじっとしているようにも見えますが、内面には深い反省の時間が流れており、単なる「無」の境地にいるわけではないのです。こまやかで謙虚な乙女座は、見えないところで多くのことを考える星座。誰も気づかない細かい部分まで見逃さずに観察し、最適解を求めて考え続けます。慎重に行動を起こし、その結果についてもまた分析。ミスがあれば反省し、次につなげるための方法を模索するでしょう。周囲から見ると、ほとんど動いていない印象ですが、そんなときほど頭の中はフル回転。動いていないときほど忙しいという乙女座は多いはずです。
時に、何事も見逃さない厳しいまなざしが誤解され、批判されることもあるでしょう。しかし乙女座は、小さなミスを“なあなあ”ですませた後に起こる、大きなミスの恐ろしさを知っています。何があっても決してブレることなく、信じた道を黙って歩き続けるでしょう。もともと、批判精神と分析力では群を抜いている乙女座。周囲の声よりも、あなた自身の内面の声のほうがずっとシビアで峻烈なはずです。
2022年後半の乙女座は、幸運の星・木星の移動によって「探求」の世界に没入します。より細かなところまで観察し、さらに掘り下げて考える時間がやってくるのです。誰も追随できないほど緻密な思考の世界で、あなたは簡単には得られない、険しい山の奥地から掘り出されるまばゆい宝石のような幸せを手に入れるでしょう。実験室に閉じこもる孤独な研究者のように、俗世から離れ、関心を抱いたことに没頭しそうです。それは難しい作業ですが、あなたなら最後までやり遂げられるはず。さらに、同じ目的を持つ仲間と探求の時間を分かち合えれば、より素晴らしいひとときになるでしょう。大切なことは、緻密な観察眼を人の欠点を見るために使わないことです。隠者が掲げる光は、あなたの周囲が気づいていない、その人だけの長所を照らすために使いましょう。乙女座の持ち前の優れた観察眼をもってすれば、できないことはないはずです。
8月23日〜9月1日生まれ「金貨の8」「向上心」を表す金貨の8。自分を見つめ直す中でより高みを目指し、努力を続けられる人です。遠回りではないかと感じる行動が、結果的に成功をもたらす最も近いコースであったとわかるでしょう。
9月2日〜9月11日生まれ「金貨の9」「隠者」の意味に加え、金貨の9が示す「心地よい環境」の性質も持つあなたは、心を落ち着かせ、自力で道を切り開けば素晴らしい環境に身を置ける人。不安なときは規則正しい生活を心がけると吉。
9月12日〜9月22日生まれ「金貨の10」あなたは「継承」を意味する金貨の10の性質を持っています。家族や師事する人から安定した地位と富を受け継ぎ、何不自由ない生活を送れる暗示が。得た富で社会貢献をすることが大切。
世界で最も売れ、タロットの定番ともいえるのが、これらのウエイト=スミス版(ライダー版)。神話的なモチーフが想像力を喚起する。『ライダータロット スタンダード〈U.S〉』より掲載。カード撮影協力/ニチユー、東京タロット美術館 文/鏡リュウジ 浅島尚美〈説話社〉 撮影/本誌・西山 航、大見謝星斗 撮影協力/ニチユー 東京タロット美術館 LECURIO 構成/三宅 暁〈編輯舎〉 星座絵は『19世紀の占星術師』(鏡リュウジ蔵)より
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。