日本の絶景神社巡り 第14回(全19回) 心の平安と開運を祈願して、『古事記』ゆかりの神様に会いに行く、わが家に神様をお迎えする、という2つのアプローチで日本の神様と真摯に向き合います。
前回の記事はこちら>> 神様への祈りをかたちに。正月飾りを作る
厳粛な気持ちで歳神様をお迎えしたいお正月。そのためのしつらいを今年は手作りしてみませんか。現代的にアレンジした新しい正月しつらいをご提案します。
無病息災を祈る「餅花飾り」
正月飾りとして見かけることが多い餅花。そもそも餅花とは、柳や榎などの木の枝に小さく丸めた紅白の餅や団子をつける、縁起のよい飾り物のこと。その由来には、養蚕農家が繭玉を木の枝につけて正月飾りにした、鏡餅に代わる八百万の神様へのお供えとしたなど諸説あり、1月半ばの小正月明けに餅花を焼いて食べることで、その年の無病息災が叶うといわれています。五穀豊穣、家内安全、商売繁盛などの願いを込めて手作りしてみてはいかがでしょう。
作り方 切り餅3切れと、片栗粉、食紅を用意する。
(1)切餅を5等分くらいの短冊状にカットする。
(2)容器に水を薄く張り、餅が半分程度浸かる状態で、電子レンジに30秒〜50秒(600ワット)かける。※時間とともに餅は硬くなるため、使う分だけ少量ずつ電子レンジにかけるのがポイント。
(3)食紅を少量の水で溶き、麺棒などで温めて柔らかくなった餅と混ぜる。
(4)片栗粉を紅餅にまぶし、細かくちぎり、指でのばすようにして枝につける。
(制作/横瀬多美保)
五穀豊穣を祈る「五穀飾り」
左・長さ30センチの正方形の紙1枚をもとに、16センチ角から8センチ角まで2センチ違いの正方形を5つ取り、5つの紙箱を折り上げる。箱のサイズが違うため、入れ子のように重ねることもできる。ラウンドトレイ、奥のカラフェ用トレイ/ともにクリストフル 青山本店(制作/横瀬多美保)五穀とは主要な穀物、米・麦・あわ・きび・豆などを指します。豊かに実りますように、転じて豊かな一年でありますように。そんな願いを込めて、五穀を飾ってみませんか。
上の写真は、和紙こもの作家の一花(いつか)さん手書きの書画を折って箱を器にした五穀飾り。また下のように、箍物(たがもの)といわれる細緻な工芸品を、器として利用するのも素敵です。なお飾った五穀は、無病息災の祈願を込めて、1月7日の七草粥に入れて、いただきましょう。
京都・紫野に工房を構える「桶屋近藤」オリジナルの薬味入れに、白米や古代米、雑穀米などを入れて。手桶薬味入れ(蓋、匙付き)各2万9700円〈受注生産〉/桶屋近藤(制作/横瀬多美保)神様の依り代「御神酒口」
御神酒口は左から、「扇」(幅15×高さ21センチ)、「三願」(幅11.5×高さ28センチ)、「火炎」(幅9.5×高さ29センチ)、「花」(幅13×高さ22センチ)、「剱」(幅13.5×高さ24.5センチ)/すべて静岡みきのくち保存研究会 御神酒口を差した容器は左から「かなざわ 寸同ぐいのみ」L、「かなざわ 寸同ぐいのみ」S、「かなざわ トックリ」L、「ボンボーラ カラフェ」S、「ダイヤ 徳利」2合、「ブラック&ホワイト トックリ」 L、「ダイヤ 徳利」1合、「猪口」M「猪口」S/すべてスガハラショップ 青山神棚や鏡餅の両脇に供える御神酒徳利の口を飾る御神酒口(おみきのくち)。その起源は江戸時代中期と伝えられ、神の依り代となる縁起物として広く親しまれてきました。
杉や檜をカンナで薄く削った経木を、交互に編んで作る経木製の御神酒口は、職人の遊び心で編み出され、今に受け継がれてきた匠の技。生活環境の変化に伴い現代では見る機会が少なくなった御神酒口ですが、その繊細で優美な形を暮らしの中で甦らせてみませんか。
撮影/本誌・坂本正行 スタイリスト/横瀬多美保 取材・文/冨部志保子 ●特集内の表記、ふりがなは各神社、著者の指定に準じます。
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。