鏡リュウジと英国占術4人の巨匠たち 魔法と星の国「英国」へようこそ 第2回(全16回) スピリチュアルが日常に生きている現代占星術の国、英国。そんな英国に惹かれ続ける鏡リュウジさんと、英国を代表する4人の占術家(マギー・ハイド、ジュリエット・シャーマン=バーク、フランク・C・クリフォード、エリザベス・ブルーク)が総登場。2023年を徹底的に占います。
前回の記事はこちら>> 鏡リュウジ 心理占星術研究家・翻訳家。国際基督教大学大学院修了。英国占星術協会会員。日本トランスパーソナル学会理事。平安女学院大学客員教授。京都文教大学客員教授。東京アストロロジースクール代表講師。占星術の心理学的アプローチを日本に紹介。著書・訳書多数。占星術の本場・英国は「現代占星術」の拠点
英国占星術協会ジャーナル。表紙はウェールズ大学占星術コースを訪問したチャールズ国王。右は鏡さんの講演録がトップ記事の号。英国は占星術においてもひとつの「ホーム」だ。現代の占星術の起源は古代バビロニアであるし、ギリシャやローマ、そしてアラブで発展した歴史を考えれば、英国が占星術の「生誕の地」とは残念ながら言えない。
けれど、少なくとも近代の占星術という意味では英国は占星術の「ホーム」なのだ。
17世紀後半以降、科学的な天文学知識の普及とともに占星術はかつての権威を失った。17世紀半ばまでは聖書に匹敵する出版部数を誇った関連書も影を潜めるようになり、大学の学部から占星術は駆逐された。
しかし、19世紀末頃から占星術は近代の合理的思考だけに飽き足りない人々によって再発見され、新しいかたちで人々の手に届けられるようになったのだ。
中でも大きな役割を果たしたのは20世紀初頭に活躍した「近代占星術の父」アラン・レオである。レオはそれまでの宿命論的な占星術を改革し、自分を見出し成長させていくことこそが占星術の真の目的であるとした。
現在、世界中の占星術家たちから尊敬され、権威あるとみなされているロンドン占星術ロッジや占星術スクール、英国占星術協会はみなこのレオの創設した団体の系譜を引いている。そしてこの流れは知性の香りがするのも特徴なのだ。
雑誌などでのポップな星占いも盛んだが、90年代には良質な出版事業で知られるあのペンギンブックスとのコラボレーションで本格的な占星術叢書が刊行され、知的な読書人たちの心を広く摑んだ。
さらに現在、ウェールズ大学ではニコラス・キャンピオン博士を主幹として、占星術を研究の対象とした修士課程が創設されるまでになっている。
僕自身、若い頃からこうした英国の占星術の空気を深く吸い、日本人としてはかなり深いところまでコミュニティに入っているのではないかと思う。幸い、英国占星術協会においての数度の発表も好意的に受け入れられたようで、その内容は学会ジャーナルにも掲載されている。
今回、家庭画報本誌にご寄稿いただいた占星術家の人々はみな、英国でもよく知られ、僕も長年お世話になっている方々である。
この特集が知性と神秘が両立する英国の占星術世界の一端をお伝え出来たらこんなに嬉しいことはない。
英国占星術協会では毎年大会が開催され、世界中から占星術の実践者、研究者が集まって研鑽の成果を発表し、また相互の交流も行っている。 〔特集〕鏡リュウジと英国占術4人の巨匠たち 魔法と星の国「英国」へようこそ
監修/鏡リュウジ 撮影/本誌・伏見早織 構成/三宅 暁〈編輯舎〉
『家庭画報』2023年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。