屋外リビングのある暮らし 魅惑の「豪邸」拝見 第2回(全17回) 上質なアウトドア家具の普及や設備の進化、内外をひと続きにするプランの革新などにより、気持ちいいオープンエアに生活空間を広げる住まいが世界的な潮流として増えてきています。家族団らんの場として、密にならない応接間として……心からリラックスできる豊かな豪邸ライフを訪ねます。
前回の記事はこちら>> 野外空間(パティオ)につながるイタリアモダンのリビング
ーーB邸 (東京)
ミラノの邸宅のようなリビング。厚みのある壁に収まった内開きのガラス扉はすべて、イタリアの建具工房に注文して実現したもの。都心の住宅街に建つ、ミラノの邸宅のようなパティオスタイルの家。
設計は都市型の豪邸の設計で知られる、建築家の森山善之さんです。依頼主から託された希望は「伝統的な洋館」。敷地面積140坪という広さで、吹き抜けを囲むように空中のコートヤードがある、品格を感じる住まいです。
「伝統こそ定義が難しい。どの時代のテイストに向けていくのか」と森山さん。住み手の思いを汲み取るためにヨーロッパ家具のショールームを一緒にめぐることから始めました。
住み手が惚れ込んだのがB&Bイタリアの「マクサルト」の家具。異国情緒も漂う素材感を持ちながら、シルエットは直線的なイタリアモダン。歴史ある建築の壁やモールディングまでを真っ白に塗った空間に、モダンな家具が佇む。そんなイメージが森山さんの頭に浮かびました。
紫外線カットのガラス屋根があるテラス屋外用ソファはB&Bイタリアの「エリカ'19」。グレーとレッドのストライプのテキスタイルを張って、リゾート風に演出している。家具と建築が一体になる妙味グレイッシュに塗られたヘリンボーンの床も住み手の好みを生かして特注したもの。「大きな家はともすればがらんどうになってしまう。家具で空間に性格を与えていくことが大事です。住み手のパーソナリティを表しながら、建ってからの暮らしやすさも実現できます」と建築と家具選びを同時進行で進め、理想の家を導き出します。
森山さんは窓に面した廊下の突きあたりをアートの居場所として考え、画商が建築に似合った作品を提案。依頼主はアート選びを楽しんだ。 〔特集〕屋外リビングのある暮らし 魅惑の「豪邸」拝見
撮影/下村泰典 取材・文/本間美紀 スタイリング協力/山田喜美子
『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。