日日是“笑”日(にちにちこれしょうじつ) 女優の柴田理恵さんが綴るきもの日記。きもののリメイク術から、愛犬との心温まる暮らし、得意の料理など、笑顔あふれる日常をお送りします。
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新緑まばゆい季節、心地よい毎日ですね。と、一見涼しい顔をしておりますが、袷のきものでは汗ばむほど。この頃は温暖化の影響で5月はほとんど夏、昔ながらのきもの暦とは状況が違いますね。
そこで、せめて色味だけでも爽やかにということで、今回は
『きものSalon』2021年春夏号でも掲載された芭蕉柄の御召スタイルを、掘り下げてご紹介。母の実家がある富山市八尾町の5月の風物詩もあわせてご覧ください。
爽やかな風を運ぶタイシルクの帯
藍の濃淡で芭蕉の葉が織りだされた御召は、伊藤若冲の作品からインスピレーションを得たという1枚。そのダイナミックな流れに一目惚れして愛用しています。
染めではなく、織りで表現されているため、ブルーの色合いも鮮やかすぎず奥行きが感じられ、パッと目を引く華やかさの中にもシックな渋さがある……着映えする「渋派手きもの」です。
合わせた帯は、友人の弟さんがタイへ赴任した際にジム・トンプソンで買ってきてくれたもの。
ターコイズブルーや青緑、ピスタチオグリーンやグレージュといったモダンな配色は、私の手持ちのきものと好相性。まさに万能選手! 芭蕉の葉とタイシルクという、南国の空気感が寄り添うのか、抜群の相性です。
この異国ペアをさらにブラッシュアップするのは、ターコイズの帯留め。アメリカの骨董市で購入したブローチを帯留めに作り替えたもので、日差しの強いの季節にぴったりの装いとなりました。
左上から私好みのグリーンの瑞々しいガラスの帯留め、中央のオパールのようなものは、フランスの骨董市で出会ったブローチ。下段左からスパイーダーの彫金を施した帯留め&簪(かんざし)。こうした小物は、私のきものスタイルに欠かせない洒脱なスパイスです。こちらの2本は何を隠そう、20代にタイのサムイ島を訪れた時に買った木綿のテーブルクロス(笑)。しかも、右の帯はワハハ本舗の劇団員が我が家に食事に来た際に赤ワインをこぼし、「えぇい、ワインのシミを見えないように帯にしてしまえ」と勢いで仕立ててもらったのですが、なかなかに素敵な帯になりました!