〔今月の引き出し〕
絵画的なアイテムから季節のインスピレーションを得た
私らしいノエルStyle
街中を彩る眩いイルミネーションや趣向を凝らしたクリスマスツリー、オブジエなど……今年も心躍るクリスマスシーズンを迎えました。パーティや会食、ホームパーティなど、私の“きもの暦”もクリスマスモードに。今月は、母のタンスから私なりの「ノエルStyle」をご紹介します。
カラフルな紙吹雪が舞うような訪問着を愛らしくスタイリング 控えめな撫子色に、上前は幾何学的な伝統柄を組み合わせ、肩から袖にかけては鮮やかな色がみがリズミカルに舞うような、今では考えられない大胆なデザイン。天然染料で染められた配色の妙が冴え渡るこの訪問着は、母が結婚披露の宴席で纏った思い出深い一枚です。
母が生涯手離さなかったものは、この訪問着と花嫁衣装の打掛け、新婚旅行の時に持って行った小さなトランク、結婚のお祝いに父の絵描き仲間から贈られた柱時計、そして色の褪せたローズ色の名古屋帯です。
なかでも上等なものが納められていた晩年の母の箪笥に、ローズ色の名古屋帯は不釣り合いだったため、ある日「どうして処分しないの?」と聞くと、「これはお父様が初めてご自分で見立てて買ってくれた帯なのよ」と言って、大事そうにまた箪笥に戻したものでした。母にも若い女性だった時があったんだなぁと愛おしく感じます。