季節を纏うことこそ、きものの醍醐味ですが、今回はこの季節ならではの雪の結晶の袋帯が大活躍。雪の文様は12月から、せいぜい2月までしか締めることのできない帯だけに、パーティやコンサートなど集いのイメージに合わせて徹底的に着まわしました。
精緻な雪の結晶がリズミカルに舞う袋帯は、どんなきものにも合わせやすい万能の一本。オペラの会にはイブニングドレス感覚の装いで
存在感のある地紋の織り出しをいかし、一見色無地のようにも見えますが、実は袖と上前が繊細な裾濃のグラデーションに。この日は、私がライフワークとしてお手伝いさせて頂いている「アイメイト盲導犬チャリティー」の、年末恒例ホームコンサートにて。オペラ歌手の女性たちはゴージャスなドレスをまとい、男性はタキシード。私もいつもは黒のイブニングドレスですが、今年はご覧のとおり和装に! 華やかなオペラの世界とも違和感がないように、タフタのように光沢が美しいドレス感覚の訪問着に、雪の帯を合わせました。今回はコンサートの進行というお役目に加え、優美なピアノの調とともに「智恵子抄」を朗読。色を加えないモノトーンの装いなら目立ちすぎず、それでいて黒のイブニングに匹敵する格調を演出することができました。
自宅で撮影をしていたら、愛犬のリンゴがカットイン(笑)。「I Love Xmas」のブローチを帯留めにしたコーディネートも、皆さまに好評でした!母の写真を整理していたら、おそらくクリスマスの頃と思われるダンスパーティの写真を見つけました。
はにかみながらも楽しそうに父と踊る母のきもの姿をみて、この頃は「きものでクリスマス」というのは当たり前。洋服がメインの今の時代は、和洋ミックスであえて「きものでクリスマス」を演出することが装いの楽しみだと感じた次第です。