寄せては返す波のように、猛暑の名残と秋の気配が繰り返されるこの季節。きもの暦では、単衣の季節を迎えました。洋服ではまだノースリーブ姿でも違和感がありませんが、「季節を先取ることがきもののお洒落」と母から教えられてきたので、多少の暑さはやせ我慢(笑)。9月1日から歳時記のお手本のように単衣に衣替えをします。そこで、今月はまだ暑さの残るこの時季に、いかにスッキリと、それでいて秋の趣を感じさせるかをお目にかけます。
モノトーンで装うモードな秋の入り
母の箪笥に眠っていたグレイッシュな単衣の紬。刷毛目模様のような、大胆な横段でどこかアーティスティックな雰囲気が心に留まりました。母は反対色である臙脂(えんじ)系や上品な染め帯を合わせていたように記憶していますが、私は母の箪笥からモダンな織り帯を見つけ、小物も全てモノトーンで統一したアバンギャルドなコーディネートを目指しました。
帯留めは、確かジョージ・ジャンセンの葡萄のブローチがあったので、それを使おうと思っていましたが、断捨離してしまったのか見つからず、どうしても葡萄にこだわりたくて、アマゾンで検索。パール調の粒の中にラインストーンを効かせた葡萄を見つけて思わずポチッ! チープなものですが、こうした遊び心こそ大人のお洒落の腕の見せ所。
GUCCIのバンブーバッグもグレーの草履も母から譲られたもの。帯留め以外は全て母のものですが、シックなワントーンにまとめたことで今の気分にぴったりの格好いい女性像に。これぞ、まさに娘のセンスの本領発揮です!