第5回
きものSalon編集部には “制服”と呼ばれるきものがありました。
「あとは“制服”かな」
きものSalon古谷編集長の“制服”発言 に心が躍っているE子でございます。 いても立ってもいられません。 編集長、“制服”と呼ばれるきものとは何ですか!?
「“制服”と呼んでいるのは角通し(かくどおし)のきもののこと。でも江戸小紋ではなく京都西陣「弓月」さんの御召(おめし)のことなの」(古谷編集長)
御召!? 聞きなれないジャンルの登場です。それがまさか初心者におすすめの1枚だなんて。
“制服”の正体、それは御召(おめし)
「御召は先練り(さきねり=糸の段階で不純物を取り除く精錬作業をすること)先染め(糸の状態で染めてから織っていくこと)のきもの。徳川11代将軍・家斉が好んで着ていたため、“御召”と呼ばれるようになった名前の由来からもわかるように、品があって紬よりも格が高いとされているの。
やわらかもののきものより格式張らず、紬ほどカジュアル過ぎないといったところかしら。私は縫い紋を付けたから、袋帯を合わせて結婚式やパーティ、お茶席にも着て行っているよ。よく“織りのきものに染めの帯”というけれど、御召は織りの帯を選んでも相性がいい。名古屋の洒落帯を合わせたら、観劇や食事会などおしゃれ着としても着られるしね。
私が先日の文楽で着ていたの、覚えている?」(古谷編集長)
“先日の文楽”とは、A子と共に課外授業と称して連れて行っていただいた文楽鑑賞会のことです。
15年以上も前に誂えた“制服”御召姿の古谷編集長(左から2人目)。初めてご自分で買ったきものなんだそうです。(写真は昨年の12月、文楽鑑賞会にて)それはベージュ地のとても落ち着いた雰囲気のきものでした。まさか15年も前に仕立てたものだったなんて。
「白生地から作った黄色い付け下げと、この“制服”があれば、どんな場所もきもので行けるよ」(古谷編集長)
たった二枚でフォーマルからカジュアルな場所まで制覇できるなんて!
……でも編集長、お持ちのきものが二枚ではないこと、E子存じ上げております。