7月2日
越後上布で藤山直美さんのお芝居のゲネプロへ
せっかく薄物の季節を迎えたのに、梅雨寒の日が続いています。そんな鬱陶しい天気でも美しいきものを纏えば、晴れやかな気持ちになります! この日は、藤山直美さんの舞台のゲネプロ(初日前日の総稽古)に伺いました。
まずは、入り口にあった藤山さんの等身大パネルと記念撮影(笑)。きものは、母のタンスのお宝アイムともいえる、今では希少な越後上布。雪国で生まれた端正かつ精緻な絣がしっとりと肌を包みます。
合わせた帯は、父の日本画の師匠である山口蓬春先生の奥さまの形見分けの品。蝶をデザインした生成り色の絽綴が、越後上布を一層爽やかに引き立てます。上布そのものにマニッシュな張り感があるため、帯揚げや帯締めに少し甘い色を挿してほのかな女性らしさを薫らせました。
顔なじみの役者さんも多く、今年の2月に『マクベス』の舞台で共演した松村雄基さんとも、記念ショットを。
芝居がはねた後には、知る人ぞ知る京料理の名店「壬生」へ。
来月は、いよいよ夏本番。まばゆい太陽に映える夏衣をお届けしたいと思います。
一色采子/Saiko Isshiki
日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。
【連載】女優 一色采子の「母のタンス、娘のセンス」
構成/樺澤貴子