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きものの文様【鱗(うろこ)】魔よけや厄よけの意味も。古代より世界各地に見られる文様

2020.06.24

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きものの文様 きものに施された美しい「文様」。そこからは、季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、古来の社会のしきたりを読み解くことができます。夏の文様を中心に、通年楽しめるものや格の高い文様まで、きもの好きなら一度は見たことのある文様のいわれやコーディネート例を、短期集中連載で毎日お届けします。記事一覧はこちら

今日の文様24
鱗(うろこ)




正三角形または二等辺三角形を連続して配した文様です。三角形と三角形を四方に連ねると、その頂点が接することで、三角形の間に新たな三角形ができます。三角形の連続する様子を魚や蛇の鱗に見立てて、この名がつけられました。




単純で描きやすいことから、古代より世界各地に見られます。日本でも古くは古墳の壁画や埴輪(はにわ)などの文様があります。鎌倉幕府の北条時政の旗印は三角形を3つ重ねた「三鱗(みつうろこ)」と呼ばれるものでした。室町時代以降は能装束や陣羽織にも見られ、能や歌舞伎では鬼女や蛇の化身の衣装に使われています。

鱗文(うろこもん)




地と文様の三角形が交互に入れ替わって構成されます。基本は同じ大きさの三角形の入れ替わり文様ですが、現在はさまざまにアレンジされ、三角形を用いた柄の総称ともなっています。

きものや帯、そのほかの和装小物にも幅広く用いられ、三角形の中に文様を入れたり、部分的に三角形を強調した意匠など、多彩な鱗文様が登場しています。



また、三角の文様は古くから魔物や病を示すものであったとか。古墳の壁画や装飾に、神に屈した悪魔の印をあえて描くことで、忌み嫌うものを追い払おうとしたともいわれています。



やがて、三角は魔よけや厄よけの意味で使われるようになり、京都には現在も、女性の厄年(33歳)に鱗文様の長襦袢を着る習慣が残っています。


能や歌舞伎鑑賞に
能や歌舞伎を見に行くときは、演目に合わせた装いをするとお洒落。能の『道成寺(どうじょうじ)』では、怨霊と化した白拍子が鱗文様の衣装で現れます。歌舞伎の『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』では、蛇体を表した清姫の衣装に鱗文様が用いられています。

【向く季節】
通年


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きものの文様

今回ご紹介した文様を含め、300以上もの文様を掲載。文様の歴史や意味が豊富な写真によってよくわかり、体系的に勉強することができます。きものを着る場合判断に迷う格と季節が表示され、こんな場所にお出かけできます、とのコーディネート例も紹介しています。見ているだけで楽しく役に立つ1冊。
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