長月~私のきものはじめ、リメイクの喜び
富山県八尾町の福鶴酒造にて。皆さま、初めまして柴田理恵です。
現在発売中の『きものSalon 2020-21秋冬号』の巻頭特集「わたしのきもの愛」の取材がご縁となり、今月から、きものを軸に私のライフスタイルを綴らせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
「笑う門には福来る」と言いますが、「楽しいから笑うのでなく、笑うから楽しくなる」というのが私のモットー。毎日面白いことばかりが転がっているわけではないからこそ、まず笑ってさえいれば日々は好日に変わっていく……。そんな思いをタイトルに込めました。
もちろん、「きもの」も私を笑顔にすることの一つ。というのも、私のきものの大半は、母や祖母をはじめ、母方の伯母から譲られたもの。母は5人姉妹でしたので、何竿(さお)ものきもの箪笥が残されています。昭和初期から現代に至るまで、それぞれの“女の一生”がぎっしり詰まった箪笥です。
今もそうですが、どの時代にもきものを誂えるということは、大なり小なりの思い入れがあったと思います。実は、私もきものに関心を持つまでは見向きもしなかったのですが、自分がきものを着るようになり、母たちの箪笥と向き合うと、どんなきものも帯も、端裂(はぎれ)ひとつをとっても「できるだけ残したい」という気持ちが湧いてきました。
工夫を凝らして受け継いだきものをまとうと、物に込められた思いが伝わり、自然と笑みがこぼれます。きものが運んでくれる幸せな気分を、皆さまにも感じていただければ一層の喜びです。
祖父と祖母の御召を、片身替わりに仕立てた“夫婦リメイク”。受け継いだきものを、遊び心いっぱいに楽しんでいます。